*BL Original novel・2*

□照れ屋の被写体
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笑って、と言われて、引き攣った頬を両掌でほぐしてみる。
あの!
そこのカメラマンの横で、わざとらしく腕を組んで難しい顔をしてる人が気になるんですけど!!

「固いねえ。じゃあ、ちょっとすましてみる?」

とうとう手の平で顔を覆った。
演技ならいい!
結構、素の自分を出すこういう場を、宮元さんに見られているのがどれほど恥ずかしいか!
役になりきれ…役になりきれ…。
そうだよ!
誰も、僕の素で恥ずかしがってる顔なんか見たくないはずだ。
ゆっくりと手の平を離していく。
……声で演じさせてもらった、そのキャラクターを少しでも僕に重ねたいって、そう思ってるのかもしれない。
よし、出来る!
宮元さんはかぼちゃ…宮元さんはカボチャ…。

カシャカシャッとシャッターの音がして、

「いいよ!次はそうだね…」

もういいでしょう?!

「ちょっと甘えた感じで。親指でも咥えてみる?」

できるかーーーー!!
ぼわーっ!と真っ赤になったであろう僕の顔面のせいで、カメラマンさんがカメラから顔を上げた。ごにょごにょとスタッフさんと何か確認とってる。

「木月ちゃんの役は、えーと、先生と、こう…ラブに落ちる感じなんだよね。先生がいるといいんだけど…、え?来てない?」

先生役をやった人は、完全顔出しNGを貫いてる。そういうのもいいよね…。
だけど、あれ…こら…。
うちのマネージャー(もどき)に一様に視線が送られてるのは何でだ!

「宮元さん…、あのう…、ああ、事務所の許可がいるかな…」

遠慮がちなスタッフさんの呼びかけに、宮元さんはニッコリ笑顔で受け答えた。

「顔さえ写さなければオッケーですよ。手伝いましょうか?」

なんて積極的なマネージャーさんでしょう?!
結局……。

スーツの胸に頬を押し当て、うっとりと夢見るような……(というイメージだ!ううっ)という写真を撮られた。



本当のマネージャーさんには、マネキンにスーツ着せたのを背景に使った、ってことにしておこう。



これでますます…

顔出しが苦手になっていくよ…。





(おしまい)



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