*BL Original novel・2*
□俺のものは俺のもの
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教室に戻ると、一斉に向けられる好奇の眼差しに耐えなければいけなかった。
なんで僕がこんな目に…。
5時限目の授業が終わり、何か聞きた気にクラスメイトが近付いてくる前に、担任の相馬先生が手招きした。
「ちょっといいかな、木月くん」
助かった思いで先生について廊下へと出た。
「…お昼の放送のこと何だけど」
「う、あ、先生にも聞こえて…」
学校のアイドル的な相馬先生は、くすっと笑って小首を傾げた。
あ、人気があるだけあるな…、可愛い、とか思ってしまう。
そうだよ!
こういう人になら生徒会長の発言の意味もわかる。
僕みたいな…平凡なやつに…。
「校内放送だからね。学校中、どこに居ても聞こえるよ。…で、あのね。何か困ったことがあったら相談に乗るから、いつでも言ってね」
今、まさに困ってます!
「あ、えっと…」
僕が言葉を探そうとしたとき、
「和喜先生。次うちのクラスだよね。教材運ぶの手伝うよ」
すっと僕の前に大きな人影が現れた。
3年生かな?
「ありがとう、千堂くん。あ、じゃあ、木月くん、そういうことでね」
先生がその3年生と並んで歩き出す。
ああ…、と僕の名前に反応したという感じで先輩が僕を一度振り返り、優しく目を細めてくれた。
あんな優しげな先輩もいるのに、何で僕の前には、怪獣が現れた?!
放課後、逃げ出すように教室から飛び出した。
こういう日は早く帰るに限る!
廊下を走る僕の足が一瞬宙に浮いた。
背後から、首根っこをむんずと掴まれたんだ!
「会長の俺様の前で廊下を走るとは、いい度胸だな、木月」
そ、その声は?!
「せ、生徒会長!み、宮元先輩!」
ずるずると僕の体が廊下を引き摺られる。
「まあ、お前は特別に許してやるが」
許してくれなくて結構です!
離してくれさえすればそれでいいです!
「お、ここでいいか」
見上げた先は『書庫倉庫』の案内板。
「え、え、え?!」
倉庫の中に引き摺り込まれる。
ガチャッと響く鍵の音。
「中から鍵をかけれる部屋はそうそう無いからな」
な、な、な!!!