*BL Original novel・2*
□年上の恋人
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「今日はこれから稽古じゃん?んで、明日は仕事同じだろ?んでもってその後は一緒に稽古で、次の日はお互い仕事入ってなくて、その後また稽古で…」
携帯を開き、俺の分だけじゃなく書きこんであるスケジュールをチェックしながら、横を歩く悠也をうかがう。
なんでこいつはいつも不機嫌そうな顔してんだ?
「…で?うっとおしいくらいに重なったスケジュールに文句でも?」
と、文句がありそうな顔で文句を言う。
「んー?今夜うちに泊まれるなって、さ。もっと一緒にいたいじゃん?」
とたんに赤くなった耳を隠しきれない癖に、ぷいっと顔を背ける悠也に、くすっと笑ってしまう。だから、余計耳が赤くなった。
「あー、でも、どうせならオフの日まで一緒に居ようか?2、3日泊りに来ない?」
「いやだね!なんでそんなことしなくちゃいけないんだよ!」
憎まれ口にアララと思いつつ、携帯を尻ポケットに突っ込んだその手で…悠也の手を握った。
「一緒に居たいから」
赤くなった顔をこちらに向けて睨んでくるけど、繋いだ手は振りほどいてこない。
「…なんか美味いもん作ってやるし。DVDとか借りてくる?」
悠也の尖らせる唇なんかにひるまないし。
「……着替えとか無いから…」
ほら、折れた。けっこう容易い。
そんなところが可愛く思えて仕方が無くなって来てる。
「じゃあ、稽古まで時間あるから、悠也の家に寄ってから行こっか?どう?」
仕方が無い、みたいな感じで頷く悠也に、ニッって笑ってやった。
年上の、素直じゃなくて意地悪なこいつに、けっこう最近はまってる。
はまってる…っていうか、俺は恋人って扱いでいいと思ってる。
多少手こずるくらいが可愛いじゃないの。
一緒に歩いて辿り着いた悠也の家は、俺のマンションから近いとはいえ、都心の高級住宅街にあった。
その家の門の前で、手持ち無沙汰に悠也の支度を待っていると、勢いよく走って来た自転車が家の前で止まった。
学ラン姿の高校生が、俺に向かって、
「こんにちは!」
と明るく声をかけてきた。
俺も笑顔で挨拶を返した。
「こんにちは」
その高校生は家の門を開け中に入ろうとして、一度俺を振り返った。
俺の顔をもう一度見てる。
悠也の弟かな?全然似てないけど。
そして、はっとした顔をして、勢いよく家の中に飛び込んで行った。
その元気な行動も悠也とは似ていない。
玄関先で悠也と顔を合わせたのか、家の中から声がする。
「あれ?功也、早いね」
「今日部活が無かったから。って、さ!家の外に居る人って…」
「誰かいたか?」
おいおい!と思いつつ、塀に寄りかかって、もうすぐ出てくる悠也を待った。
だけど、先に外に出てきたのは、悠也の弟だ。
勢いよく玄関のドアを開けると、
「す、住吉敬太!」
とか、名前を叫ばれて面食らった。