*BL Original novel・2*

□ご主人様?!
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「似合うな…」

宮元さんが手渡した服に着替えた。
顔から火の出る思いで仁王立ちに立つと、宮元さんが僕を上から下まで舐め回すように見つめた。
思わず、身体を捩ってしまうほどの恥ずかしさだ。




最初は二人でお遊びのつもりでふざけていたんだ。
休日の部屋で、押し入れにしまってあった段ボール箱を片付けていた。過去の舞台衣装が詰まった段ボール箱の中身で、最初に遊び始めたのは僕だ。
王様になったり、学生になったり。
はしゃいでいたら、僕の真似して衣装を着込んだ宮元さんに思わず見とれてしまった。
侍のような着物姿になった宮元さんの、きりっとした表情を見て、ポーッとしてしまったのがばれた。

「じゃあ、お前は…、これだな」

そう言って手渡された衣装をまだふざけたノリのまま着てみちゃったんだ。
膝までの青いワンピース。フリルの付いた襟と袖。そして、白いエプロンまでがフリルひらひらだ。

「そのままアキバに立てるんじゃねえ?」

ニヤニヤしながら近付いてくる宮元さんに、思わず後ずさってしまう。

「そろそろ掃除の続きを…」

「…こういうプレイもありだな…」

「え?」

「コスチューム・プレイ」

「何のプレイですか!?」

がしっと腕が掴まれた。

「なぁ、それっぽい台詞、言ってみろよ…」

不必要に甘い声で耳元で囁かれた。

「…い…いらっしゃいませ…、ご主人様…」

メイド服に似合った台詞を適当に言ってみた。

「…いいねえ…。何かに目覚めそうだわ…」

そう言いながら、僕のスカートの裾を少しめくり上げた。

「目覚めないでいいです…」

宮元さんは、ちっちっち、なんて、舌を鳴らしてみせる。

「ご主人様、を付け忘れてるぞ」

床に散らかした衣装を踏みながら、宮元さんが僕を引きずる。どさり、とベッドに投げ出され、慌てた。

「じょ…、女装はもうこりごりですよ…」

宮元さんはそそくさと着ている着物を脱ぎ捨ててる。

「…思ったんだが、二人とも役者なのによ?利用してなかったのはもったいなかったな」

押し倒した僕の身体にのし掛かりながら宮元さんが言う。

「何言って…」

「…お前は…、俺の言うことを何でも聞く召使い、どうだ、こんなの?」

そんなの普段とあまり変わらないじゃないか!なんて言えるはずはない。

「宮元さんは?」

「俺?ん…、わがままな王様」

まんまじゃないか!もう!

「演技指導もあっちの指導も同時に出来るって、な」

「指導なんてもう必要ないです!」

するするとスカートを穿いた足を撫でてくる宮元さんの腕を掴んだ。

「言うじゃねえか」

宮元さんが動きを止めた。諦めたかな?
宮元さんは、僕の隣にごろりと転がった。仰向けになり、肌蹴た自分の胸をさらに広げる。

「ほら、ご奉仕してみな」

僕は奇妙な倒錯感を覚えながら、その熱い胸板に手を這わせた。
演技でなら、少し大胆になれるかも…なんて…。

「…はい…、ご主人様…」

僕はゆっくりと宮元さんの胸に顔を寄せた。赤い突起を口に含むと、

「ん…っ」

と宮元さんの喉が鳴り、上目使いで覗うと、細めた眼で僕を見ていた。
もっと反応が見たくなって、舌先で突起を転がす。空いた片手でもう一つの突起を摘まみ上げた。

「…んん…、あ…っ」

気持ちが良さそうな声が漏れる。
こんな恰好しているのに、まるで僕が攻め立てているような気になってくる。

「…気持ち…いいですか?…ご主人様…?」

「いつもよりうめぇじゃねえか」

なんて言われて恥ずかしくなるけど、演技中だと思えばもう少し…出来る。
宮元さんの肌に舌を這わせたまま、下腹部へと下がって行く。下着から、興奮しているそれを思い切って目の前に晒した。僕をじっと見ているのがわかる。

「あ…、こ、こっちも…な…舐めて…よろしいでしょうか…」

「…可愛いな、マリ」

宮元さんの指が僕の髪の毛を掴み、自分の下腹部へと導いた。

「気持ちよくさせてみな。あとでたっぷりと御褒美をやるさ…」

そんな言葉の一つ一つに、僕の方も興奮してきてしまう。
口の中で膨らみを増していくものを唇で擦りあげると、宮元さんの息遣いが荒くなる。ビクリ、と身体が震え、僕の髪に絡ませた指に力が込められた。思わず夢中になってそれを舐めたてた。

「…マリ…、こっちこい…」

少し切羽詰まった声で呼ばれて、そこから口を離し、宮元さんが引き寄せるままに宮元さんの顔に顔を寄せた。
宮元さんが覆い包むように、僕の身体を自分の身体の上で抱き締めた。

「俺が…欲しいか?」

ぎゅっと押し付けられた胸の上で頷いてみせた。

「ちゃんと口で言えよ…」

宮元さんの手がスカートの中の下着の中に入ってきた。興奮していたことがばれて、カアッと全身が熱くなった。
長い指先が、焦らすように僕のそれに絡む。求めるような強い刺激はくれない。

「あっ、あ…っ、ん…、み、宮元さ…」

「ん?もうご主人様ごっこはおしまいか?」

とたんに自分の服装を思い出して顔を覆った。

「ご、ご主人様…。あっ、あ…あの…っ!」

器用な指が胸元のボタンを外して中に滑りこんできた。それと同時に煽る様に興奮を握る指に力が込められた。扱くような動きに、腰が震える。
宮元さんが僕の耳元で囁いた。

「…ご主人様のもので僕の中をぐちゃぐちゃに掻き回して下さい…」

「い、言えませんよ…」

「くくく…っ。こんな程度の台詞でNGじゃあ使い物にならねえんじゃねえのか?」

そんなこと言われたら、負けず嫌いと恥ずかしさが心の中で戦ってしまう。

「…僕の……して…あ、あ…っ」

「あ?聞こえねえ…」

そんなやり取りをしている間も宮元さんの指は湿りを利用にて激しく扱きだす。

「も…、ダ、ダメ…、ご、ご主人…さま…、あっ」

目をぎゅっと閉じて宮元さんの身体に抱き付いた。

「ご主人様が欲しいですっ!」

「可愛過ぎだ、マリ」

あっという間に身体の上下を入れ替えられた。
広げて抱えられた脚の間に宮元さんの身体が圧し掛かる。

「もう、『宮元さん』でいいぞ…」

そう言って、ぐぐっと熱い身体を押し進められ、

「宮元さんっ!うっ、ああっ…んっ」

演技をする余裕のなくなった声を上げてしまった。






汚れてしまった衣装を抱え、溜息を吐いた。
めちゃくちゃ恥ずかしいことをしてしまった気がする。
まだベッドに転がっている僕を置いて、裸のままの宮元さんは、僕に背を向け床に胡坐をかいていた。
急にくるりと振り返った。

「次はこれ着てみろよ…」

宮元さんは手にした衣装を僕に向かって掲げて見せた。
それを見て、さあっと青ざめ、かあっと赤くなって、思い切り首を振った。
にやりと笑って、衣装を手にしたままにじり寄る宮元さんから…、逃げられっこないのもわかってる…。



もう!
おかしなことにはまらないで下さい…。
ご主人様!




(おしまい)
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