*BL Original novel・4*
□Kiss☆Diary
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「ボイスん」住吉x岩井+αそのA
『犬x猫x仔猫』
頭と背中を温かい手が撫でてくれる。
そして、耳に心地の良い柔らかい声が僕に話しかけてくれる。なんて言っているのかはわからないけれど、きっとこれがお母さんの子守唄なんだろう。
「…敬太のやつ、一番好きな食べ物は?って聞かれてなんて言ったと思う?『自分で作った料理』なんて答えててさ…。どこまでナルシストなのかとびっくりしちゃったよ…。でもさ…『それを好きな人と一緒に食べること』とか慌てて付け加えてさ。なんだよそれ、って感じだよね…。きっと僕を太らせるつもりなんだよ…。バッカみたい…」
もっとこの優しい声を聞いていたい…って頑張ったけれど、いつの間にか眠っちゃっていた。
「いてっ!」
カプッとしてやった兄弟が声を上げた。気持よく寝ていたのに僕に触るからだ。こいつの指は冷たくて嫌なんだ。目が覚めてふわああっと大きなあくびが出た。
「ふふ…、可愛い…」
お母さんがその温かい手で僕の体を包み込んで抱き上げた。すべすべでつるつるのほっぺで僕の顔をスリスリと摩ってくれた。
「いいなあ…、ね、俺にも……いてっ!」
お母さんもこいつが気に入らないのか足で蹴飛ばした。
「お腹すいたー!」(ニャァア!)
「あ、ご飯だね?待ってて…」
お母さんは僕をそっと下に降ろした。僕はその足元にまとわりつきながらお母さんの後をついていった。
お母さんに嫌われている兄弟は僕を恨めしそうな目で見ている。
僕はふやかしたカリカリを食べはじめた。もうミルクは卒業したんだ。
でもこいつはまだ…、夜になるとお母さんのミルクをねだっている。
かわいそうに。嫌われているから発達が悪いんだな。
(次ページそのBに続く)