BASARA 佐幸佐 SS

□これしか。
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真夜中に旦那の部屋に忍び足。
灯りの消えたその部屋で、夜目を利かせれば、旦那は…。

……寝てるし。

揺さ振り起こすのもかわいそうだけど、今日を逃したら、またあの押し問答から始めなくちゃなんない。

布団の隙間から体を滑り込ませる。
あー、暖かい。
もぞもぞと、旦那がこちらに寝返りを打った。
俺の胸に頭を擦りよせてくる。
かわいくて、その体を抱き締めた。

「…なあ、佐助」
あら、起きた。

「お前にすべて任せていればよいのか…?」

「うん」

「ならば…」

「うん?」

「任せる…」

そう言って、ぎゅっと俺にしがみついてきた。

うお。

体の中を何かが走り抜けたよ!

「旦那!」

俺も旦那を思い切り抱きしめた。

「苦しい!」

あ、ごめん。
ちょっと腕の力をゆるめた。

「旦那、目を閉じて」

「どうしてだ?」

んー。
旦那の顎に手をかけ、上を向かす。

「口付けしたいから…」

「なぜ、口付けしたいと目を閉じるのだ?」

んー…。

「恥ずかしから?」

「…そうか」

やっと旦那が目を閉じた。
ぎゅうっとつむった瞼が震えていて…いや…強く力を込め過ぎてピクついているようにも見えるけど…。まあ、いいか。

固く閉ざされた唇に、唇を重ねた。
その唇の隙間から、そっと…。
隙間?
ちょい口開け!
何だ、この固い唇は?!
強引に舌を差し込めば…!

「う!!!」

慌てて旦那から離れて口を押さえた。
噛まれた…。

「なんだ?今のぬるっとしたのは?」

お、俺の舌です。(泣)
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