BASARA 佐幸佐 SS

□ぼくのせんせ
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夕方、園庭では、まだ数人の園児が遊んでいた。
それをちらりと見ながら、せっせと繕い物の手を動かす。
ん?
あれ?
気のせいか、でっかい子が混じって…。
窓越しに目が合って…。
ガタン!
思わず椅子から腰を浮かした。
掃き出し窓から表に飛び出す。
うわっ。
つっかけに足を取られて転びかける…と、その腕を取られた。

「相変わらずのおっちょこちょい」

!!

学ラン姿のその姿は見慣れないけど、その笑顔は覚えてる!

「幸ちゃん!」

「ただいま。佐助先生」

「うわあ、大きくなって!」
目線が同じ高さだよ。大人びちゃって。
ペタペタペタ。
思わず触りまくったら、へへっと照れた笑いを浮かべた。
あー、もうそんな表情するんだね。大人だ。

「先生、全然変わってない」
「幸ちゃん、大きくなった!」
久しぶりの再会に胸を踊らす…暇もなく!
ぎゅっとその胸に抱きしめられた!
ま、待った!
もう、大人なんだよ、幸ちゃんは!
どきどきしてしまう…。

「あー先生ぇ。恋人ぉ?」
あ、うわ。
足元に園児たちが集まってきた。
めっちゃ見上げられてますよ!幸ちゃん!
「らぶらぶ〜?」
近頃の子供はそんな言葉も覚えちゃって…。
は、離れない…。
「先生を離せー」
もがいてるもんだから、何人かの園児が俺のTシャツの裾を引っ張った。
そしたら、幸ちゃんは、ますます俺をきつく抱きしめた。
「だめ!この先生は某のものだ!」
……。
体は大きくなったのに…。
中身は変わってないのね…。
「ずるいぞ、お前!佐助先生はみんなのものだ!」
「そうだそうだ!」
周りがわいわい騒ぎだす。
「何?!それならば、某と勝負だ!」
「おー!」
ようやく解放され、子供たちとおっきいのが駆けだす後ろ姿をため息ついて見送った。

じゃんけんする姿、走り回る姿、懐かしいね。かわいいね。
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