BASARA 佐幸佐 SS
□不器用な魚
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「誰が奥手だって?」
佐助が首をひねって俺の方に向いた。
「冗談言ってたのに突っ込まないでよ」
暗がりの中で、佐助の頬が赤くなってる。
まったく…。
「佐助の…」
佐助の肩を掴んで体ごとこちらに向かせた。
何を言われるんだろう?と不安げな目が俺を見上げてる。
「彼女とやらに嫉妬した」
「はあ?!」
目を見開いて驚くものだから、その顔に思わず噴き出しそうになるが、耐える。
ここはしっかり佐助をしつけなければ。
「俺にもぜひ紹介してくれ」
佐助が唇を尖らせる。
「冗談だってわかってるだろ…むぐっ」
冗談ばかり言うその口を塞いだ。
あんなに軽口を叩いてる佐助の正体は…まったくもってどうしようもない。
キスしただけで、俺の腕にしがみ付いてる。
シャツの裾から手を差し込めば、ガッチガチに体を固くする。
「佐助。俺は奥手だから、上手くは出来ないが…」
「だから…ごめんてば…」
俺の胸に顔を押し付けて呟いた。
可愛いとは思うが、少し…昼間の佐助のようであって欲しいとかも思う。
俺は…佐助の言うとおり奥手だったし、下ネタも苦手で知識が乏しい。佐助みたいにチャラチャラとエロ話で盛り上がったりもできない。
だから…。
少しは佐助が積極的であって欲しいとも思うわけだ。
だけど佐助は…。
体を起して佐助をベッドに押し付けた。
とたんに、ギュウッと目を閉じて直立不動で横たわる。
はあ…。
思わずため息が出てしまった。
「昼間のお前と足して二で割れ」
そう言ってやると、恥ずかしいのか顔を両手で覆った。
そんな佐助にこっちが恥ずかしくなる!
「するぞ?」
手の平で覆われたままの顔で頷いた。
「佐助!」
「はい…」
このまましても、声を出さないように唇をかみしめる佐助。
こないだは唇に血が滲んでた。
それではいけないって、俺も思っているんだが…、何しろ問題は…佐助だ。
「昼間ほどチャラチャラしろとは言わん。だが…少しは…」
佐助がそっと顔から手を外す。
「少しは…その…。お前のが知識は豊富だろう?少しは俺に教えてくれ」
ぼわっと佐助の顔が赤くなる。
頭の中でいろんなことを知ってる癖に、まったく動けない佐助。
「俺のしていることで満足できるのか?」
首を振ったり頷いたり、どっちかわからん。
「あーもう!いい!」
どさっと佐助の横に仰向けに転がった。
「たまには佐助がしろ!」