*BL Original novel・1*

□ボイスん。アタック@
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「今日もお疲れ様。これ、次の台本」

差し出されたA四判の台本には……長方形の白い封筒が乗っていた。

「これは?」

僕は台本ごとその封筒を受け取った。

「木月宛てのファンレター」

そう言って、なぜか困った顔をした。

「ええ?」

僕は頬が赤くなるのを感じながら、封筒を手に取った。表には何も書いていない。裏返す。封もされていない。差出人も……書いてないじゃん!

「僕宛て…、なんですか?」

「…それ、宮元がこの前事務所に顔出したときに置いていったんだよ。……まったく、木月を思い付くのに時間かかった」

「す、すいません」

わけも分からず謝ってしまう。
でも……。

「ミヤモト、さん?」

「宮元総《みやもとそう》。うちの所属だから知ってるよな?」

「そ、それは!ベテランさんだし、僕もファンですから!」

宮元さんは、うちの事務所でも古株で、ベテラン声優さんの一人だ。僕も子供の頃からのファンだ。かっこいいヒーローの声を数多くこなす、雲の上の人だ。

「その、宮元さんが言うには、……春頃、うちの事務所のキャスティングでやったやつで、ちょい役だったやつ。初めて聞く声だったとか……」

ふう、っとマネージャーさんはため息を漏らす。

「木月、心当たりない?」

「い、いえ。僕、宮元さんとはまだ面識ないので……」

「春頃入った新人って、木月くらいしか見当がつかん。それに、それ、開けて見てみな」

僕は言われるがままに、急いで封筒から中身を引っ張り出した。折りたたまれたチラシとチケットが一枚。
チケットには、『キーブランド・カンパニー第五回公演』ご招待券。

「わあ、これ行きたかったんだあ」
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