*BL Original novel・1*
□ボイスん。アタックA
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エレベーターが到着し、乗り込もうとしたとき、ふっと宮元さんの手が腰に回された。
どきっと、思わずその手を見てしまった。
そのとたん、ぎゃあぎゃあ、わいわい、と、止まったエレベーターから学生集団らしいのが勢いよく飛び出してきた。
「あぶな……」
ぐっと、腰に回された手が僕を引き寄せてくれて、危うく正面衝突をまぬかれた。
「あ、ありがとうございます」
ちゃんと聞こえたかどうかわからないうちに、今度はエレベーターに乗り込む波に巻き込まれる。
はぐれたら大変と、宮元さんの体にすがりついた。
狭いエレベーターの中で、四方八方から押される中、顔の正面を宮元さんの胸に押し付けられて、……ちょっとドキドキした。
とりあえずのビールの乾杯の後、運ばれてくるツマミをつつく。
僕もだけど、宮元さんもお腹がすいているらしく、そんなときに頼むメニューの量は、まるでパーティみたいになった。
テーブルの上のお皿をどうにか並べながら笑った。
「テーブルに置ききれませんね」
「食え食え、おごりだ、少年」
宮元さんも楽しそうにぐいっとビールを煽る。
「わーぁい。ビールお代わり〜」
「そっちかよ」
何だか浮かれて、小さな宴会をはしゃぎまくった。
こないだの宮元さんの芝居のことだとか、養成所時代の高岡先生の変な(?)話だとか、お互いのこの頃の仕事の話だとか。
宮元さんもますますご機嫌な様子だ。
これが、爆弾持ち(失礼)だとは想像もつかない。