*BL Original novel・1*

□ボイスん。アタックC
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僕が去年通っていた事務所の養成所は、事務所から程近いビルの一室にある。

ガチャガチャっとドアノブを回してみるものの、鍵がかかっていた。
そういえば鍵は先生がいつも開けていたっけ。そんなときはいつも階段に座って、みんなで待っていたんだっけかなあ。
僕は昔みたいに階段に腰掛けて、壁に寄りかかった。


……大学通っていて…、教師になろうなんてしてたんだよなあ。もともと上がり症だし、話し方教室のつもりでここの養成所に入っちゃったんだ。

それがいつの間にか、こんなフリーターまがいになっちゃって、親には小言ばっかり言われて……さ。
でもこんな道だけど、選んじゃったものは仕方がない。
テレビで見たわよーって、喜んでくれるときもあるじゃないか。

うー。
ここでぼんやり考え事は初心に返りますなあ。

早く来い来い、宮元さん。

結構待ったかな?お腹すいたな、なんて考えていると、階段を登ってくる足音が聞こえた。
やっと来た!
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