*BL Original novel・1*

□ボイスん。アタックD
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っと、そんなことに気をとられてる場合じゃない。
グラス、グラス。水。
薬を箱から取り出し、水の入ったグラスを渡す。
宮元さんは、ぐいっとそれを飲み干した。

「腹も減った」

「あー、だったら食べてから薬飲んだほうがよかったですよね。でもとりあえず何か食べ物を……」

また袋を漁る。栄養の付くものっていえば……。

僕はプリンを取り出した。ビッグサイズだぞ。

「なんだよ、それ」

こっちを見ていた宮元さんがぶうたれる。 いいじゃないか!バナナでも可なんだけどね。売ってなかったの!

「消化もいいんですよ。あ、スプーンが入って無いじゃん」

僕はまた台所に戻ると、食器棚の引き出しを漁った。

「わ!」

突然、後ろから腕が回された。いつの間にか来ていた宮元さんに、後ろから抱き締められた。

「びょ、病人はじっとしていてください……」

宮元さんの体は熱い。

「眠くなった……」

そう言って、僕の肩に顔をうずめる。息も熱い。

「横になっていてください。すいません、僕が起こしちゃったから……」

回された腕に緊張しながら、それでも宮元さんが心配だ。

「ふあい」

やけに素直に宮元さんは僕から離れて、別の部屋に向かった。
あっちが寝室なのかな?
いちお、プリンとスプーンを持って行く。

「宮元さん。食べられそうですか?」

ドアを開けるときに、ちょっと戸惑う。
この広いマンション。もしかしたら結婚していたときから住んでいたんじゃないかなんて思ったせいで。
別にそれはどうでもいいんだけど、この部屋の中に、ダブルベッドなんか置いてあったら、ちょっと……見たくないかも。

「入りますよ?」

そっと部屋の中を覗いてみた。
まずは感想……汚い!
読み散らかしの雑誌や本が散らばって、うわあ、ビールの缶まで転がってるよ。
ただ……シングルのベッドにほっとする。
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