*BL Original novel・1*
□ボイスん。アタックE
2ページ/11ページ
蹲り泣き続ける僕。
大きな胸がそっと包んでくれた。
「……何回、あなたは死んじゃうんですか?」
僕はしゃくりあげながら声にした。
「稽古の度に。本番の度に」
背中を撫でる大きな手。
僕の中で、少年と僕が混ざり合う。
悲しい想いが溢れ出す。
優しい声が、僕の中から、僕を探し出し、そして伝えた。
「俺は目の前に居るだろう?見てみろよ?目を開けて、見てみろよ」
涙の目を必死にこする。
宮元さんが、目を細めた優しい顔で、僕を見ていた。
僕は両腕で宮元さんに飛びついて、ぎゅっと強く抱いた。
「……マリ、稽古の度に俺にこうやってするのか?俺はかまわないが、舞台じゃお客さんが見ているぞ。……その前にお仲間が見てるんだが……」
収まりつつある胸の嗚咽を手で押さえ、僕は宮元さんの体から離れた。
「……うん……」
パチパチパチッ。
突然の拍手にはじかれて、驚いて顔を上げた。
アトリエの部屋のドアにもたれかかって、高岡さんが立っていた。
ええ!いつから……。
「驚いたなあ。マリがここまでするとは思ってなかったよ!」