*BL Original novel・1*

□優しい傷@
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突然、眩しい光を感じた。


いつの間にか眠っていたんだ。

閉じた瞼を照らす明かりに、意識が覚醒していく。
もたれていた大きな木の幹に、背中が当たる。
しかめた目を開くと、目の前に誰かが立っていた。その手に持つ懐中電灯の光が、僕の顔に当てられている。

「ここで何をしている?」

シルエットしか分からない人物が声を出した。
眩しさに顔を背けると、光は、僕の体を這うように流れた。

「…誰?」

口の中が粘っこく乾いていた。

「連絡を受けて探していた」

え?
いつの間に死体が発見されたのだろうか?
とりあえず幽霊じゃない僕は自分の頬に触れてみた。

目の前の男がゆっくりと近付いて来た。
大きな影だ。
さらにその腕が僕に伸ばされる。

逃げ場はない。

その人影の正体が何だか分かり、動けないまま、息を呑む。

「警察です。一緒に来て貰えませんか?」

肘の上が、強い力で引かれた。

「警察?!僕はまだ……、というか、何で警察に……」

こんなこと訴えるはずもないじゃないか!

「……とりあえずご同行願えませんか?」

何だっていうんだ?!

周りに誰も居なかった!

誰も見ていないはずだ!

もしかして、どこかから見ていた人がいて通報したとか?

あんなことをされている僕を、誰かが見ていたのか?!

カアッと顔を熱が覆った。
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