*BL Original novel・1*
□とっておき
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腕の中で聞こえるこの声を帰したくないと思った。
「なあ…マリ…、このままここに居たらどうだ?」
体の下で、まだ慣れぬ行為に顔をしかめているそいつは、その顔をますますしかめやがった。
「…い、嫌です…」
ったく。
顔に似合わず強情なこいつをどうやって頷かせようか?
事務所がどうとか、世間体がどうとか、今更あーだこーだと難癖つけやがる。
俺にとっては、んなの関係ない。
ただ、俺のものでいて欲しい。それだけ。
まあ…できれば、俺だけのものにして、誰にもその声を聞かせずに閉じ込めていたい…なんてな。
マリが喘ぐ口に拳を押し付けようとするのを見つけ、その手首を押さえ付けた。
「ん…あ、あ…」
「声、殺すんじゃねえよ」
今度は唇を噛み締めて耐えようとする。
おいおい…。
お前の声が聞きたくて、こんなしつこくやってんだよ。
胸を重ね、重みを乗せ、その耳元で囁いてやった。
「マサト…愛してる…」
とたんに体中固くしやがった。
いきなりきつくなって、こっちが顔をしかめた。
唇を寄せている耳朶が真っ赤に熱くなった。
「み、宮元さ…」
俺の腕に爪を立てそうなくらいにしがみ付いてくる。
…こりゃあ…。
「マサト…」
「あ、あ、ああ!宮元…さん!」
マリの声に煽られるまま、俺は体を進めていった。
ふ。
とっておき見ーーーっけ!