*BL Original novel・1*

□とっておき
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ちょっと考え事をしながらがちょうどいい…っておやじじゃねえ!

「み、宮元さん…」

可愛すぎる唇に重ねたくて、足を膝から抱えて、体を深く進めた。

「う、うあ…あ…」

また一つ閃いた。

「宮元さん、はもうおしまいにしたらどうだ?…総《そう》って呼んでみろ」

目を潤ませて口を開きかける。

いいね。
その声でイかせろ。

「…そ、総…」

もう堪らない。
甘過ぎるんだよ、お前の声は!

キスはやめにして、自分の漏れる息を吹きかけながら、その細い体に思いをぶつけた。





「…んで、さ」

ぐったりと俺の腕を枕にしてるマリは今にも寝そうだ。

「ここに、住まねえ?」

「…しつこいです…」

うは。
さっきまでの可愛さはどこに行っちゃったのよ?

「部屋余ってんだよ。家賃、浮くぞ?」

ほんとにうっとおしそうに、ごろりと俺に背を向けやがった。

「リビング、台所、寝室…物置…物置…3LDKが聞いてあきれます…」

だから!

「マリ、俺がいない間に掃除しといてくれ。そすれば、さあ…」

必死になってる自分が情けない。

「僕は家政婦じゃないですよ…寝ます…」

こ、この!
ぶち切れてもっかい組み敷くか。
ま、だけど…。
小憎たらしい背中を抱き締めて、ゆっくり目を閉じ、自分で雰囲気の中に入り込む。
一呼吸置いて、耳元でとっておきを囁いてやる。
俺を舐めんなよ。

「…マサト…、俺と暮らそう…」

マリの体がびくっと強張り、ゆっくり振り向いて俺を睨みつける。
あらら。もう真っ赤。

「な、な、何で!さっきから、いきなり名前で呼ぶんですか?!」

こっち向いてくれたから、そのまま胸に抱き締める。

「お前にも、総、って呼べって言っただろ?」

「僕は…慣れてないんです!」

ぐいぐい俺の胸を押して、離れようとしやがる。
まったく…。
だけど、まあ…。
可愛い弱点じゃないの!

「マサト…」

ダメ押し!
とか思ったら、腕の中から逃げ出しやがった。
裸でベッドから転がり落ち、部屋の隅に猛ダッシュ。
だけどそこは洗濯物の山が築かれていて、何か文句言いながらもがいてる。
どん!
って音と、
「うわあああああ!」
って叫び声。
壁の本棚にぶち当たったらしい。
どさあああっと崩れ落ちるゴミ…いや、俺の仕事の残骸。
マリは頭を抱えて、体を丸くした。
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