*BL Original novel・1*
□ボイス…あ。
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何だ今の?
消し忘れたテレビには、ぷかりと空に浮かぶ風船が映っている。
何だ??
心臓が勝手にバクバクいい始めた。
風船が宙に漂う。
は!
俺みたいな風船だ。
その風船に伸ばされる小さな手。
なぜだか、降りてきた風船を掴み、嬉しそうに笑う子供。
こいつの声か?
しゃべれ!
もう一度なんかしゃべれ!
今の声はお前のものか?!
だけど、つまらない幼児番組は、もっとわけのわかんねえシーンへと切り替わった。
…あ
ただそれだけ。
あ。
それだけ。
その声が、もう一度聞きたい。
男か女かもわからねえ。
そんな声に、胸を押えている自分はアホなのかと。
汚れていない。
作っていない。
綺麗な声だと思った。
俺の声は…。
は!
何も役柄全てが天使の声ってわけじゃないさ。人間臭い、どうしょうもない声のが需要があるどうしょうもないのさ。
もっかい。
芝居がやりたいと言いに行くか。
嘘でも頭を下げますか。
いつか…。
今の「声」に、会えたら、俺は……。
(えんど)
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