*BL Original novel・1*

□ボイスん。レッスンact.2
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「…ということで。宮元にも言っといて。じゃ、当日」

「はい!ありがとうございましたー!」

用件だけのそっけないマネージャーさんからの電話が切れると、宮元さんが読んでいた台本からちらっと顔を上げた。

「…宮元が何だって?」

相変わらず耳がいいなあ。

「今度のCDドラマの台本が遅れてるんだって。当日渡しになるって」

「ふーん。って、俺の?」

「宮元さんと、僕の」

ああ!とやっとわかった風だ。

「んだよ、それ!今すぐ持って来いって電話しろ」

無茶な!

宮元さんが、読んでいた台本を開いたまま伏せた。
にやりと笑って手招きをした。
素直に近付いて、

「事前レッスンができないじゃん、なあ?」

と言われて、くるりと向きを変えた。

「おい!呼んでるんだから、こい!」

「い、いや、結構でっす!」

まったく!
人が今度の仕事にどれだけドキドキしてるかなんか、まったく知らないで!

男同士の恋愛事情の話が流行っているのは知っている。アニメではさすがに少ないらしいけど、CDドラマなんかでは結構あるらしい。
僕もいちお声あての仕事してるから、そんな仕事も回ってくる。

よりによって…

本当の恋人と恋人役を演じなければいけないとは…。

世間様にオープンに出来る関係じゃない。
ばれないように…
恋人を偽って演じられるだろうか…

ええい!
仕事は仕事だ!!
リアルと混ぜるな!!

「マリ…」

背後に迫る影にぎくりとして振り返…る前に背中から抱き締められた。

「今夜のシュチュエーション、どんなのがいい…?」

「ふ!普通が一番です!!」

「オッケー」

え、あ…。
う、うわああ!
オッケーじゃないーー!!
離せー!
降ろせーー!!

「嫌がるのを無理矢理シュチュお好みですか?」

だーー!もう!
僕を抱きあげる宮元さんの首根っこにしがみ付いて、その胸に顔を埋めて、口を閉じた。

演技のための、レッスンだなんて、いやだよ?
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