*BL Original novel・3*
□100%片思い
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俺の恋心は、恋愛成就率0%。
はっきり言って、潔いと思う。
潔く、ねえ?はなっから諦めちゃってんだから、…惑わさないでください…。
*
「200台!でかいよなあ!一店舗でこれだけの数…、もしかしたら系列店全部…なんて思っちゃうよなあ!」
「だねえ…」
目の前には同期の高良(たかよし)が、ビールを飲みながらぐだを巻いている。俺はといえば、下戸なのを理由にしてガッツリお好み焼きなんか頬張っている。
食欲が満たされれば性欲は治まる。そんな迷信を信じてガッツリ食いまくってる。
ちなみに酒は強い…かもしれない。が!高良の前では下戸で通している。付き合いの席では無理して酒をあおっているという風に見える俺を…高良は介抱なんかしてくれちゃったりして、まさに一石二鳥だ。だって、酒は理性を無くさせる。危険だ。余計な言葉が口から出てしまう危険もある。
「ドタキャン!ありえねえよ!俺、もう工場に発注しちまってるつうの!どうしろってんだよ!」
大袈裟に天を仰いでみせたり、うわああん!と泣き真似をしてテーブルに突っ伏したりする高良が可愛くってついつい口元がニヤけてしまう。
「ぅおい!俺の不幸が嬉しいのか!」
あー、完全に酔っ払ってるな。高良が俺の頬を抓る。
「…ちょうど俺、今月2、300台の注文取ったんだよねえ。発注まだなんだけど、高良のそれ、回して貰っていい?」
「まじでか!漆(うるし)…、た…助かる…。つか、早く言え、それを!!」
ポカリ、と理不尽に頭を殴られ、それでも俺はエヘヘと笑ってみせた。
明日から死にものぐるいで200の注文を取ればいい。それだけのこと。
「あ、なあ?ドタキャンの理由ってさ…」
俺の言いかけの言葉に、高良はギクリとなった。ははあん。噂は本当か。
俺は構わず突っ込む。
「お前があそこの専務の誘い、断ったから…なあんて、言ってる奴がいてさあ?さすが営業部のエースともなると変なヤッカミも多いのな」
高良の頬がピクピクと引き攣る。わかってはいたが、これ、まじかよ。
俺は乾き始めた唇をペロリと舐めながら続けた。
「え…、まさか…、ほんとにあそこの専務…、ゲ…ゲイ?」
高良の可愛い顔が、とたんに般若になった。
「キモいんだよね!キャバクラとか折角行ってんのにさ!俺の太股撫でたりすんの!どうしろつうのよ、俺に!」
俺は、わざとらく驚いた顔をして見せ、困ってしまって仕方がない、というように言葉を探す振りをする。
「あー、まあ…、腐っても営業ならさあ、なんとかやり過ごせなかったのか?それか、その…、減るもんじゃなし…」
みるみるうちに、高良の、ただでさえ大きな目が見開かれていく。目ん玉が落ちるかもしれない。