*BL Original novel・3*
□ぼいすん。ぷりん
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「だいたい、あなたって人はいつも自分勝手なんです!」
「お前はガミガミガミガミうるさいんだよ!眉間に皺が刻まれてるぞ」
「だからあなたはモテないんですよ!」
「はあ?!モテますけど?!お前なんかよりモテますけど?!」
「へえ!そうなんだ?じゃあきっと僕なんかより宮元さんにふさわしい、優しい恋人がすぐに見つかりますよ!あなたの我儘と自己中に耐えられるくらいの世界一心の広い人をどうぞ探して下さい!ふんっ!」
「…うぐ…」
あーいえばこーいうの応酬で、宮元さんが先に言葉に詰まった。僕は見えないところで拳を握ってガッツポーズしてやった。
「…心にも無いことを口にしてると後悔するぞ」
突然、宮元さんの目が据わった。顎をしゃくりながら憮然とした表情で僕を見る。だけど、僕はその強面表情には数秒耐えられるくらいの免疫を持っている。その目をじっと見返そうとしたら…。宮元さんが僕の両脇の下に手を突っ込んできた。指先でゴチョゴチョとくすぐってきた。
「あっはははは!や、やめっ!アハッ!や、やっ!ヒャッハハハハ!」
足も手もばたつかせてもがくけれど、その手は僕のシャツを捲くって直に肌までくすぐってくる。
「や、やめ!あっはは!っても、もう…ヒー…ッ」
笑い過ぎて涙が出てきて息が苦しくなってくる。だけど宮元さんの目は楽しさマックスでキラキラしている。
「し、死ぬ…、も…も…う!やめろっ!」
マジで死ぬかと思って死ぬ気で暴れた拳が宮元さんの腹に入った。
「うっ、痛ってえ…な…」
腹を押さえて丸くなる宮元さんと、その横で、同じように丸くなって窒息しかけた呼吸を必死で整える僕。ふたりのゼィゼィする呼吸が部屋に満ちる。
まったく…何やってるんだ、僕たちは…。
ようやく痛みが治まったのか、宮元さんが先にふらりと立ち上がった。そしてまだ丸くなってる僕の頭をクシャリと撫でた。
「…ほれ、行くぞ」
「…え?」
宮元さんは先にリビングの外へ向かう。
「プリン食いてえんだろ?コンビニ行くぞ」
「え…、あ、はい」
僕はよいしょと起き上がり、あくびをしながら宮元さんの後を追いかけた。
まったく、僕らは…。
何時まで経っても、本気のじゃれ合いを繰り返す。
似た者同士ゆえの、宿命ってやつかな?きっと。
(おしまい)