*学園*

□王子様は御機嫌斜め!
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(王子様:兎川命 視点)

なんでこんなやつと同室になっちゃったんだ?!
やだやだやだ!
ぜっんぜん!面白くない!




「ふぅ。…コーヒー飲みたい」

一生懸命宿題やってたらさ、コーヒーでも飲みたくなるじゃん?
まったく…気が利かない。

……返事がない。

聞こえないのかな?って振り返ればベッドに寝転がって雑誌を読んでいる同室者は、僕の方に顔を向けようともしない。

「コーヒー」

もっかい言ったら、やっと、雑誌を少し下げて、ちらりと僕を見た。

「…持ってくりゃいいだろ」

ええ!!
僕に自分で取りに行かせる気なの?!
信じられない!

「篠ノ井が持ってきて」

ちょっと可愛く言ってやった。

「俺は別に飲みたくねえもん。ご自分でどうぞ」

な!
僕のおねだりが通用しないなんて!
信じらんない!

「前の同室者は僕の言うことを聞いてくれたよ!」

椅子をキシキシさせて抗議してやる。
しばらく間があって、

「……あー…、そういや、……王子様だったな、お前」

そ、そういや、とかって信じらんない!
かあって、顔が熱くなるのを感じる。
僕にはいっぱいファンが居て、親衛隊までぎっしり居て、みんな可愛い可愛いって言ってくれるんだ!
ずっとずっと、僕だけ特別にみんなから優しくされるんだ!
「王子様」なんて、崇められるほどなんだ!


「僕、コーヒー入れに行ったことないもん!」

ちょいむきになって、篠ノ井を睨みつけた。

「下に行けば誰かしら居るだろ?教わってこい」

あーーもう!
篠ノ井の手から読んでた雑誌を取り上げた。
ふう、なんて溜息つかれてさらにむかつく。

「わーった、わーった」

お?

「じゃんけんしてやる。ほら。最初はグー。じゃーんけーん…」

わかってないじゃん!!

「ぽん!」

とか掛け声かけられて、思わず握りしめていた拳をそのまま突き出してしまった。

「はい。王子様の負け。いってらっしゃい」

「もういい!」

また雑誌を読み始めた篠ノ井に、いーーっとしてやってから、僕は鼻息荒く部屋から飛び出した。
ちょうど隣の部屋から出てきたやつに、危うくぶつかりそうになった。

「おっと。大丈夫?」

お隣さんは、人の良さそうな顔でいつもニコニコしている向田だ。
その手にはココアの茶色い小袋が。

「僕もココア飲みたい!」

コーヒーよりそっちがいい!
向田は、ニッコリ笑って、

「いいよ。…ゆう!やっぱ手伝って。マグカップ持ちきれなそう」

部屋の中に向かって声をかけた。
中からたたたっと走ってきたちっちゃいのは、向田の腕にくっついた。

「部屋に届けてね!僕、まだ宿題があるから!」

仲が良さ気なお隣さんにもなぜかむかっ腹を立て、僕は部屋へと戻った。

「お早い御戻りで。さってと。俺先シャワー浴びるよ?」

またもやこいつは信じらんない!

「シャワーも僕が先に決まってんだろ!」

僕の抗議無視して、篠ノ井は着ていたトレーナーをがばっと脱いだ。
それを事もあろうか、僕の頭に投げつけてきた!

「むは!何するんだ?!」

上半身裸な篠ノ井は、にやりと笑って僕に手を差し出した。

「よろしければご一緒しますか?王子様?」

「ふ、ふ、ふざけんなーー!!」

肩をすくめながら、篠ノ井はユニットバスへと消えてった。
僕は閉じたそのドアに頭の上に乗っかっていたトレーナーを投げつけた。

あーもう!
勝手が違う。いつもと違う。

おかしいよ?
みんな喜んで僕の言うことを聞いてくれるのに。
なんでよりによって同室者のあいつだけあんななんだ?!
こんなんじゃ、この先、どうやって生活していいかわかんない!
頭を抱える僕の部屋のドアがノックされた。
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