*学園*

□王子様は御機嫌斜め!
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「兎川、ココア持ってきたよ」

こうでなくっちゃ!
急いでドアに向かった。

「なんで…二つ…」

差し出された湯気を上げる二つのカップを受け取る。

「ん?篠ノ井の分。…あー、それから、少しは仲良くしなきゃ駄目だよ?一年間同室なんだから…」

お節介向田め!
というか、

「隣に声、聞こえてんの?」

「ほどほどに、ね」

とか言って、背中に張り付いてるやつに向かって、「あー、もう眠くなった?じゃ、部屋戻ろうね」とか、頭撫で撫でしてる向田にもむかつく!

「向田ー!サンキュー!」

とか、シャワーの音を止めて、ドアをドンドン!とか叩くそいつにもむかつく!

うー…。

閉まったドアを睨みつけ、ベッドに背を凭れかけさせ、膝を抱えて座り込んだ。

ひどいや…。

うとうとしかけてたら、シャワーから戻った篠ノ井が声をかけてきた。

「なあ?そんなに俺と同室が嫌なら、喜びそうな奴と代ってやろうか?」

あくびをしながら、

「お願い」

と言い残して、シャワー浴びに向かった。

結構アバウトに部屋の入れ替えが行われている現状。
カップルになっちゃった奴らが、好き勝手に部屋を取り替えっこする現状は、もう誰にも止められない暗黙の了解ってやつだ。

って、シャワー浴び終わって気が付いたんだけど、タオルとパジャマが無いよ?
いつも勝手にセットされてたグッズがいつもの棚に無いよ?
びしゃびしゃなまま、仕方なくドアを少し開けた。

「篠ノ井、タオルが…」

言いかけたら、パシャっと光った眩しい光に目が驚いた。

「うお!王子の裸ゲットおお!」

い?!
何度か光る明りがカメラのフラッシュだとわかって、慌ててユニットバスのドアを閉じた。

「な、な、なんだよ!お前、誰だよ!」

写真撮られた?!
へ、へ、変態だ!

「今日から同室者の遊行でーす!王子の親衛隊に入ってまーす。よろしくー!」

ふ、ふ、ふざけんな!!!

「し、篠ノ井を呼べ!すぐに!すぐにだよ!!」

濡れたままで冷えてきた体に、ぶるっと身震いした。
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