*学園*

□小動物の飼い方
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(小動物:矢ノ口夕 視点)


僕のむーちゃんは、いつもすごく優しいんだ。

幼稚園からずっと一緒で、ずっと僕を守ってくれる。

どんくさくて、鈍くて、グズでのろまで…バカな僕を……って、あ…自分で考えて落ち込んできた…。

で、そのむーちゃんなんだけどね!
近頃少し、おかしいんだ。





「また今年も一緒の部屋だね!」

寮の部屋に荷物を運び入れながら(運んでるのはむーちゃんで、僕はまとわりついているだけだけど…)嬉しくなって、むーちゃんの腕にしがみ付いたら、どすん!と運んでいた段ボール箱を落とした。

「いてっ」

足の上に落としちゃったらしい。

「わー!ごめん、むーちゃん!僕が…僕が手触ったから…」

あははと笑いながら、僕の頭を撫でてくれた。

「手が滑っただけ。よいしょ!これが最後だよね?ご飯いこっか?」

「うん!」

人見知りが激しい僕は、こんな全寮制の学校でやっていけるか不安だったけど、どうしてもむーちゃんと一緒の学校に来たかったんだ。
スポーツ推薦でこの学校にむーちゃんが入ることが決まった時に、そんなむーちゃんに必死になって勉強教えてもらって頑張った。
1年の時も同じ部屋で、2年に上がった今回も同じ部屋。
来年も一緒だといいな(気が早いね)

「向田!約束だぞー!」

配膳の列に並んでいたら、同じ2年の小路がむーちゃんの肩を叩いた。

「はいはい…」

むーちゃんはズボンのポケットから食券の綴りを取り出した。
お宝だあ。
それをぱっと小路が取り上げた。

「お幸せに!」

とか言って、またむーちゃんの肩をぽんぽんっと叩いて列の後ろに消えて行った。
むーちゃんは苦笑いをしてる。

「上げちゃうの?」

「いーの。お?今日は夕の好きなハンバーグだぞ」

そう言って、僕のトレーにお皿を乗せてくれた。

「やったー!」

って、僕のトレーも一緒に運んでくれるむーちゃんの後ろをぴょんぴょん付いて行った。

僕が一生懸命ご飯を食べているのをニコニコしながらもう食べ終わっちゃってるむーちゃんが眺めてる。

「あ、ちょうどいいところに。向田。新入生の勧誘の件だけどさ」

むーちゃんと同じ部活の3年生が声をかけてきた。

「お?また一緒の部屋にしてもらったのか?」

ん?
僕の顔を見て、先輩が言った。

「あ、まあ、それは…」

なんかむーちゃんが慌ててる。

「後でマネージャーが出来上がったビラを先輩に見せるって言ってましたよ」

「そか。悪いね、邪魔して」

先輩が立ち去ると、むーちゃんは肩をすくめた。

「ねえ、夕?」

むーちゃんが、僕の口の端に付いてたご飯粒を抓んで口に運びながら、僕の顔をじっと見詰めて聞いてきた。

「俺と同じ部屋でよかった?」

「うん!」

「そっか」

僕の髪の毛をくしゃっと撫でながら、むーちゃんがにっこり笑った。
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