*学園*
□小動物の飼い方
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「ねえ…。隣の部屋がうるさいよお…」
壁にくっついてるベッドに寝転んだら、薄い壁を通して、どたんばたん響いてくる。
「じゃあ、こっちおいで」っていつもなら言ってくれるのに。
「ベッド代る?」
って、今日は言われた。
「我慢する…」
って、布団を頭から被った。
そしたら、ふうって、むーちゃんのため息が聞こえた。
足りない頭で考えた。
もしかしたら…いい加減ウザくなってきたのかな…。
格好良くて、頭が良くて、スポーツ万能なむーちゃんは、人気者だ。
また今年も僕の世話をしなくちゃなんないのかって、嫌気がさしてきちゃったとか…。
ごそごそ寝返りを繰り返してたら、
「眠れない?」
また心配かけた。
布団から頭だけ出して、
「そっち行っていい?」
って聞いたら、
「駄目」
って、今度ははっきり断られた。
なんだよ!
むーちゃん、急にいじわるになった!
しばらく布団の中でじーっとしてみる。
また、ふう、なんてため息が聞こえて、なんか泣きそうになったけど、我慢した。
壁の向こうの隣の部屋も静かになった。
いつも朝練があるから早寝のむーちゃんももう寝ちゃったかな?
頭から布団を被っちゃってるむーちゃんの様子はわからない。
そーっと布団を抜け出して、そーっとそーっとむーちゃんの布団に潜り込んだ。
布団の中で、むーちゃんとばちっと目が合った。
「ゆ、夕!一人で寝ろって言っただろ!」
怒られた…。
こっちの布団の中はこんなにあったかいのに…。
すごすごと戻ろうとしたら、怒ったはずのむーちゃんが僕の腕を掴んで引きとめた。
「ぐ、ぐえ!苦しいよ…むー…」
布団の中で、ぎゅうっと体が抱き締められた。
「今…俺が何してたか見ただろ…」
「見てないよ…」
「嘘だ。見た」
何を怒ってるんだろう?
何も見てないよ!
というか、怒ってるなら離してほしい!怖いから!
もがいてもむーちゃんが強く締め付けてくる。
「離してよ!ちゃんと一人で寝るから!怒らないでよ!」
少し腕の力が弱まった。
「お前はほんとに…」
えーえー!ほんとにおバカですよ!甘ったれですよ!
「すぐ泣く…」
だって…むーちゃんが…。
むーちゃんの体の上に乗っかって、その首にしがみ付いた。
「ねえ、夕…。じゃあ…手伝って?」
あったかい手の平が頭を撫でた。