*学園*

□浮気が本気
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本気じゃないよ?
なんて言った方が、みんな簡単に付き合ってくれる。
別れる時も、じゃ、次探す、って言えば、また友達に戻れる。

きっと、先生もね。
俺にすぐに飽きるのかな?

……。

なーーんて、やめやめ!
深刻になるのは嫌いなんだ。



   *



ノックをした宿直室から顔を出してきたのは、大嫌いなハゲだった。

「何だ?」

「あれ?今日は原先生じゃないの?」

「原先生は急用ができて突然代ってくれと…まったく…こんな夜に何が急用だ…」

「デートっすかね?」

「まったくだいたい…」

とか、小うるさそうな退屈紛らわしの愚痴に付き合う気はないので、ははっと引き攣りながらドアを締めた。

何だよ!
今夜って約束してたじゃん!

携帯禁止な寮の規則を恨む。

いや、だって、だったら学校で一言言ってくれればいいじゃん!
担任のくせに!

なんだよ……。

あー。
何か今、真っ暗なロビーに佇む会長の真似がしたくなってきた。



んで、真似してみたものの、しなきゃよかったって思う。
これは…。
なんか気分が沈んでいきまくるじゃないか。
ていうか、何で俺は沈んでんだ?
先生は今頃どっかの誰かと楽しく大人な酒でも飲んで、その後大人なお付き合いしちゃって楽しんでんのかな、なんて、なんて……。
そんな、どうでもいい光景思い浮かべて、顔を両手で覆ってる俺ってどうよ?
会長よりもみっともない!


ふいに、目の端に光が入ってきた。

玄関の硝子戸越しに、明りがロビーに差し込んできて、消えた。

車のエンジン音も消える。

まさか!
なんて。

もしかして!
なんて。

俺は鍵の掛かってる玄関ドアに駆け寄った。
すりガラス越しに見える微かなシルエットは、絶対に先生だ!
急いで鍵をガチャリと外した。
外には、鍵を手にして、ちょっと驚いた顔の先生が。

「驚いた」

でしょうね!

「ま、よかった。お前の部屋番号覚えてなかったし」

だろうね!てか、また今日部屋代ったし!

先生が俺の手を引いた。

「おいで。車持ってきた。夜道は面白くないだろうけど、どっか連れてってやるよ」

俺は……。

先生の胸に飛びついていた。

「何だよ!宿直代るなら先に言えよ!おかげでハゲの顔見ちゃった!それに、俺、俺さ!」

「寂しかった?」

とか、大人の余裕で言われて、カチンと来たけど、その通りでさ…。
先生の胸にしがみ付いて、わからないように頷いた。

「お前が声を堪えなくていい場所にでも行くか?」

かあって顔が熱くなって、先生の胸にぐりぐり押し付けた。

「堪えてない…」

「試せばわかる」


明日の授業、居眠りしてても怒るなよ?



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