*学園*
□ツンの憂鬱
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「どうしろと?」
暁が真顔を作る。
「…キスの一つで勘弁してやる」
……!!
「いやだ」
「どうしても?」
「どうしても」
暁がひょいっと肩をすくめた。
「わかった。悪かった」
やけに素直な暁に拍子抜けした。
ドアから先に出て行こうとする暁の背中に、
「あ…誕生日、おめでとう…」
と声をかけた。
「ありがと。さあ、帰るぞ」
聞きわけがよすぎる暁に、逆に胸がチクリと痛む…いや…甘やかすな…。
*
夕食の食堂はサプライズが企画されていて大騒ぎになった。
「ハッピーバースディ!かいちょー!ハッピバースデイかーーいちょ!!」
どこで用意してきたのか、小じんまりしたホールのケーキにはろうそくの炎が揺れる。
めでたいらしい当の本人はテーブルの上に上がり大はしゃぎだ。
「お前ら!今日という日を祝ってくれてありがとな!!」
ヒューヒューっとお調子者の掛け声が上がる。
ちらりと暁が俺を見た。
そして続けられる言葉は決まってる。
「だけど俺様は十以一筋だから!」なんて…。
言わなかった。
「よし!今日は特別に俺様に貢物があるやつは持ってこい!受け取ってやる!」
なんてのたまってる。
呆れた!
俺は大騒ぎの食堂をそっと抜け出した。
バカ会長は人だかりに埋もれてる。
知るか!