*学園*
□王子様も悪くない
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(ちょいワル:篠ノ井 視点)
「いえーい!」
「ナイスシュー!篠ノ井!」
パシン!と、コートの中で向田とハイタッチで手を鳴らせた。
「次の相手はどこになる?」
「今隣でやってる3年の勝者の方かな」
全校クラス対抗球技大会は、今回はバスケってこともあって、一応のバスケ部員の俺と、クラスの中でも、まあ、運動神経のいい奴を集めたドリームチームを組んでの参加だ。
順調に勝ち進み、とうとう次は決勝ってとこだ。
「うへえ。生徒会長のとこかよ。相変わらずうるせー…」
まだ試合の終わらない隣のコートは、選手の派手さも応援団の賑やかさも半端ない。
「篠ノ井、少し時間があるみたいだから、ジュース買ってくるから」
「ってら」
向田の腕につかまりながら「応援し過ぎて喉カラカラなんだよ!」とかほざいてるペットのおやつの時間か?相変わらずお仲のよろしいことで。
俺も少し時間を持て余して、体育館の壁の花を見つけて、声をかけた。
「よお、類。最近ご無沙汰じゃねえ?」
「あー。決勝進出おめでとう、カッコよかったよ」
「なにそれ。応えになってねえし」
何度かお相手した仲なのに、すっかり俺に興味が無さそうに、ふああっとあくびまでした。
「なあ、今夜遊ばねえ?」
「やだね」
即答かよ。
ま、いいけど…。
「というか、篠ノ井。お前の部屋の王子様さあ、この頃、護衛付けてないじゃん?」
親衛隊のほとんどが変態だって脅してやったら、びびって遠ざけてしまったと言うところなんだけどねえ。
からかいがいのある奴で…。
「何笑ってるの?気持ち悪い…」
「すっげえつれなくなったな、お前…」
「でさあ、王子様、さっき柄の悪い先輩達に取り囲まれて外に連れ出されたけど、やばくない?」
コートではシュートが決まったのが、大歓声が沸き起こった。
「って、お前、そういうこと先に言えよ!どっち行った?」
おお?と類が意外そうな顔してくるのが、少しうっとおしいが。
「裏の方かな……って早…」
途中すれ違った向田に、
「わりぃ。試合間に合わなかったら適当にやってて」
「え?篠ノ井!」
バッシューのまま体育館から飛び出した。
なーんか、この頃の王子様って、ほっとけねえんだよなあ…。