*学園*
□秘密のお姫様
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真っ黒のぼさぼさの髪は前髪が長くて目に入りそう。黒縁の眼鏡は、どんだけド近眼なの?ってくらい牛乳瓶底で。
こんな子に好かれちゃってもねえ…。
「御挨拶が遅れました。私、1年洛山淑架(らくざんとしか)と申します」
ぺこりと頭を下げられた。
なんともご丁寧な…。
「そこにいるのは同室の鹿淵です。信頼がおけます」
鹿淵くんもぺこりと頭を下げてきた。
はあ…。
「実は、持田先輩に折り入ってお願いごとがありまして…」
慌てて背筋を伸ばした。
こう見えても生徒会書記!シャキーン!と。
「なんでしょう?お困りならばなんなりと」
僕まで丁寧にかしこまった。
「実は…私には大変な秘密がありまして…」
秘密?!
「そのことで、是非、持田先輩にお力になって頂きたいと…」
喋りながら、洛山が眼鏡をすっと外した。
ん?
あれ?!
眼鏡の下には、澄んだ空の様な美しい瞳が現れた。
これは!
噂に聞く変装ちゃんですか?!
ってことは、頭はズラ!
思わず手が伸びて、変装ちゃんの髪の毛を引っ張っていた。
抜けたー!取れたー!
わくてくわくてく!
「痛ってえなああ!何すんじゃごらああ!!」
ひっ!
「そうそう取れねえようにしっかりとくっつけてあるんじゃあ!剥げたらどうすんじゃわれえ!」
ひーーっ!
変装ちゃんの豹変に壁まで尻で後ずさった。