*学園*

□決闘?!
2ページ/2ページ

「融!そいつから離れろ!」

「い、いやだ!兄ちゃんの意地悪!」

ほーら。
僕の推理は正しい。
あれですね。
会長は実はブラコン何ですね。うんうん。融くんは可愛いもんね。会長に似ておバカさんなとことか、愛らしいと思うよ。うんうん。

「暁!もういい加減にしないか!…人も集まって来てる…」

副会長が、ちらりとこちらを振り向いた。
生徒会一同、ここでスタンバッテます。頑張って下さい、先輩!と、拳を握り締めて、合図を贈った。

「九度!勝負だ!」

会長が九度先輩を指差した。
九度先輩の睨みはハンパねえ…。
何で正面から受けて平気なんだ、この会長、そして、九度先輩の横に居る弟くん。

「やんのかよ?」

融くんが、ギュウッて感じに九度先輩の腰に両手を回してしがみ付いた。見ていて、きゃあ!とか言いたくなる可愛い必死な仕草だ。
ま、会長のこめかみには青筋が、そりゃあ、立ちますな。

「喧嘩なら受けて立つぜ」

九度先輩も恐ろしいが、こっちでは副会長が九度さん並みの恐ろしい視線で会長を睨みつけてる。それもなかなか恐ろしい。

「騒動起こしてみろ…。俺がお前の首を絞めてやる…」

副会長の会長への囁き、聞こえました!
会長は少し視線を漂わせ…思考を巡らせている。

「こ、こうしよう!俺も男だからな!拳で決着を付けたいのはヤマヤマだが、お前、いい加減退学になっても困るだろうからな!情状酌量だ!…えーあー…うー…」

会長は、キョロキョロとあたりを見回しながら、副会長の姿の上で視線を止めて、思い付いた!と手をポンっと叩いた。

「お互い、どっちが先に、その恋人とやらと結ばれるか、そんなんでどうだ?!」

副会長があんぐり口を開けて呆然とする姿、初めて見た。

「へえ。会長さんは後ろの恋人と。俺は融と、ってことでいいのかよ?…てか、あんた、恋人さんといまだに結ばれてねえの?」

「ああ、そうだ!!」

うわああ。
僕は副会長の代わりに会長の口を塞ぎに飛び込んで行ってあげたい!

「…いいだろう…。いいか?融」

こくっと頷く融くんの可愛いことといったら!
くるりと会長が振り向いた。
片手を高々と掲げたので、ギャラリーたちは訳も分からず声援を送った。
「きゃー!さすが杉様!」「会長かっこいい!」
そんな様子をふっと鼻で笑って、融くんの肩に腕を回して背を向ける九度先輩。
ああ、殴り合いには成らなかったのか、残念…いやいやいや。
副会長の心中お察しします…と怒りに震えているであろう、副会長を見ると、あれ?意外にも穏やかな顔つきで会長を見てるんだ…。

「まさか暁が折れるとはね。感心した」

そう言って、会長の肩に、ぽんと手をかけた。

「何言ってんだ?十以!っつうわけだから協力しろよな!」

ギャラリーが去っていく中で、生徒会の面々は会長と副会長の元へ、とりあえず集結に向かった。
今度はこちらが揉め事の雰囲気だ。

「お前…自分がわざと負ける賭けを持ち出して、融くんと九度の仲を認めたんじゃないのか?」

おお!そういうことか!
会長立派!

「なんで?俺が負けるはずないだろ?融は身持ちが堅い…はずだ。俺が勝つに決まってる」

穏やかそうだった副会長の顔つきが、だんだん険しくなってきた…。

「お前…まさか…本気で言ってたのか…」

「当たり前だ!さあ!十以!今すぐにでも結ばれ…げふっ!」

うわっ!
副会長、グーで殴った!

「呆れた!さあ、みんなも見世物じゃないよ!行くよ!」

頬を押えて呆然と立ち尽くす会長を置いて、僕らは寮へと戻り始めた。


メモメモ…。


今日の決闘。

会長の負け、っと。



(つづく)


学園TOPへ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ