*学園*

□その男前ペットにつき
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俺が茫然と眺めていた目の前の門扉がゆっくりと開き始めた。
入ってもいいということなのだろうか?
気後れする自分の頬を数回叩き、門の中へと足を踏み入れた。


外国映画で見たような手入れのされた庭園が広がり、噴水が派手に音を立てていた。
その奥には古めかしい石造りの建物が立ち並んでいる。
まるで…テーマパークだ。

遊歩道のような道の脇に設置されていた案内板を確かめ、『学生寮』を目指した。




「おや?こんなところに迷える子猫ちゃんが一匹…」

ふいに木立の中から人が飛び出し、行く手を塞いだ。
なぜだか乱れたシャツを整えながら。
ガサガサと音のした木立の中からは、俺と同じ制服を纏った後ろ姿が早足で立ち去るところだった。

「おっと。詮索はいけないよ?」

「あ、別に…」

この重厚な雰囲気の校舎にはそぐわない、長めの金髪に派手な色のついたシャツ、ニヤリと笑った顔は、整ってはいるが軽薄そうだ。

「君は新入生とみたね」

男は胸ポケットから煙草を取り出し、一本口に咥え、ライターで火を付ける。
吐き出した煙が顔にかかる。
警戒が顔に出てしまったのか、男は俺の表情を見て、口の端を持ち上げた。

「初々しいねえ。ところでさあ。新入生なら皆とっくに講堂に集められてるけど?君は行かなくていいのかな?」

「え…」

男の言葉に焦る俺の手から、ボストンバッグをひょいと取り上げ、

「講堂はあっちね」

と、男は庭園の向こうを指差した。

「すいません!ありがとうございます!」

やはり、学校関係者なのだろうか?
深々と頭を下げ、男の指さす方に駈け出した。
ちらり、と振り返ると、やたら笑顔で手をひらひら振っていた。
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