短い小説
□Part-time job
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『なんとか間に合うかな』
隆治、只今街中疾走中
『しかし今日に限ってこんなに遅くなるとは思ってもみなかったな』
何とか、時間ギリギリで入ることができた
カランカランッ(入り口のベルの音)
『こんにちは、すんません遅くなって!』
「おっ、こんにちは。まだ少ないからあんまり焦らないでいいよ〜」
この人が店主。寛大で温厚、そして人当たりのいいキャラでして。
ちなみにバイト先はこの店主といい、店の雰囲気、評判といい最近巷で人気の出てきている喫茶店だ
『マジですか?じゃあお言葉に甘えて』
俺は更衣室に向かって行く
ちなみに俺の仕事は主にウエイターだ
なんかこの間店主が、「君がきてから売り上げが伸びた」とか言ってたけど…何でだろう?
まぁそんなこんなで今日も仕事をこなしていく
そして、仕事も終わりに差しかかったとき
「朝比奈君、今日はそろそろあがっていいよ〜」
『え…でも、まだ早くないですか?』
「お客さん減ってきたし後は大丈夫だよ。あ、給料は引いたりしないから安心してくれ」
高らかに笑いながらそう言ってくる店主
『…申し訳ないです』
すると
カランカラン
『あ…いらっしゃいませ!じゃあラスト入ります』
そう言って客の方へと向かっていく
『いらっしゃいませー…あれ?』
どこかで見覚えのある黒髪ツインテールの女の子
「?…あれ、貴方は…」
彼女も気づいたようで
「隆治さんっ!お久しぶりです♪」
『君は…あー…誰だっけ?』
「えっ!?そんなぁ…」
一気に表情が暗くなる、背景にガーンって文字が似合う位に
『ごめん、冗談冗談。久しぶり梓ちゃん』
「…もうっ!」
ありゃ…拗ねちゃった
軽い冗談のつもりだったんだけど…
顔が不服そうなので話題を変えてみる
『梓ちゃんはよく来るの?』
「あ、そうですね、ここの紅茶美味しいので…隆治さんはバイトですか?」
『そうです、恥ずかしながら』
後頭部を掻きながらそう言うと彼女は微笑んでくれて
「ふふっ…ご苦労様です♪」
『…かわいい』
うっかり口に出てしまったようで
「かっ!?あ…あのっ…じゃあ、み…ミルクティーをっ!!」
『…かしこまりました』
顔真っ赤だよ
馴れてないのかな?