The Heroine's smile
□第7話〜Another2・苦難〜
1ページ/8ページ
聖秀学院高校〜〜
カァァァン!!
パシッ!
「次!行くわよ!」
「お願いします〜!」
カァァァン!!
パシッ!!
毎日こうして後輩にノックしているのにもだいぶ慣れた。あ、私は木村果隠。この春から聖秀学院ソフト部キャプテンになった。まぁ半分は仕方なしってこともあるんだけど。
―――――パァァァァン!!
「いいわよ紗和!」
「エへへ〜いいだろぉ♪」
「こら音無さん、練習中に歯を見せない!」
「あ、はぁ〜い…。」
「全く…待たせたわね、幸乃。」
パァン!
「ほーんと、肩冷えちゃうってばー。」
「それはない。」
「あららー相変わらず厳しい返しー。」
「ほんと厳しいよね…。」
「木村先輩、1年のうちらにも容赦ないよね〜…。」
去年との大きな違い、それは後輩の愚痴が毎日耳に入ってくることだ。だるいだの、嫌だの、厳しいだの…文句言うなら入部してくるなって話。
―――――パァァァァン!!
「ナイスボール。」
パァン!
でも私はこの扱いには慣れている。なぜなら……
ガチャッ
「ただいまー。」
「あら、おかえりなさい。どうだった部活?」
「うん、変わんないけど。」
「そう、ご飯にする?お風呂にする?」
「あー、じゃあご飯食べるよ。」
ガチャン
「はぁ…。」
部活を終え、家に帰り、そして部屋に戻ってゆっくりするのが一日の終わりを実感できる。
「………。」
部屋には小学校から始めたときのソフトボールクラブの写真を中心にトロフィーやメダルが飾ってる。
「(私、こんなに笑ってたっけ。)」
その中で目に映ったのが、あの写真だった。
”19XX年8月、寿也の家に遊びに行ったとき”