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□いつか、あの日が過ぎ去った
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『おはようございまーす！本日も江戸は一日中雨が降り続き、水はけの悪い地域では浸水対策も必要です。』
本日、江戸は雨天。
一階では朝からスナックの主が忙しく働いているのか、時折ガラガラッ、と戸が開くような音がする。
明るい結野アナの声に重なって、ポチャポチャ、ピチョン、と、しきりに雨の音がする。
『皆さん、外出の際はレインコートをもっていく事をお勧めします。
お家にいれる方は、無理をせず安全に過ごしてくださいね。では、今日もブラック星占いのコーナーでーす。』
「フーン。今日も雨アルか。もう３日目…いつまで続くんダローな、コレ」
ぼりぼり、と酢昆布をむさぼりながら、ソファで寝ころびテレビをボーッと見つめる神楽。
まるで働き疲れてやる気が起きない日曜のお父さん状態である。
ザアザアと雨が降りしきる中、万事屋銀ちゃんで留守を任されたのは、神楽であった。
ここの家主とかろうじての男手である新八は、２日前から降り続く雨で、昨晩より不在。
雨漏りの修理にひっぱりだこのようで、一晩中帰ってこなかった。
今こそ退屈を極めている神楽だが、昨日の夜こそ「私の為の夜アル！」とはしゃぎ倒した。だが、普段取り合いになるテレビを好きなだけ見て、食べたいものを食べた後に待っていたのは、退屈と雨漏りであった。それは割と早々に訪れていて、それからはや数時間と経っている。
ブラック星占いから視線を外して、天井に一カ所だけあいた穴から、雨が降り注いでくる空を見上げる。
そう、雨の音がひっきりなしに聞こえるのは、８カ所の雨漏りと、１カ所の大穴から、である。
そう、その穴は、無論意図してあけたものではないのだが、一応直そうとしたら出来たものなので、事故みたいなものである。
『最下位は、さそり座のあなた〜〜〜！何をやっても厄日な貴方、こんな時は一人で考えず、マトモな大人をたよりましょう！』
「マトモな大人………、！！ いいこと思いついたアル！」
ブラック星占いでヒントを得たさそり座の神楽は、ソファから飛び起きて雨の受け皿になっているお皿やら桶やら鍋やらをよけて、電話の置かれた台へ走った。
『堂々の第一位はてんびん座のあなたですっ！今世紀最大の転機を逃がしてはいけませんよ〜！」
マトモな大人を頼る。
神楽のその行動が、波乱の幕開けになるとは、結野アナでさえ知る由もなかった。