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「永四郎ーやっぱ俺無理だわー」

平古場クンが屋上でのびている

「…何を言っているんですか君は」

「だってよー…」

「そんな弱気でどうするんです?貴女は彼女が好きなのでしょう?」

「…まぁな…」

「…全く…。ではとっておきのおまじないを教えてあげましょう…」

「おまじない…?」

「そうです」

「何だそりゃ?」

「ゴーヤーですよ」

「ゴーヤー?!あいひゃー…ゴーヤーだけは勘弁…」

「知らないのですか?」

「何だよ」

「ゴーヤーには人を素直にさせてくれる効果があるのですよ」

「………え、そうなのか…?!」

「はい。俺を見てみなさい。俺は素直です。」

「…永四郎は素直と言うより「何ですか平古場君。」

「…いや…何でもないさー。…とにかくゴーヤーにはそういう効果があるんだよな?」

「はい。」

…なんて。少しからかい過ぎましたかね。
平古場クンがはーやーだのちゃーすがやだの言っている。
…え?分からないって?仕方ないですね…。
平古場クンは「へー」だの「どーしよっかなー」だのと言っているんです。

「俺…ゴーヤー食うさー」

「そうですかそうですか……ん?

「あいつのためだ。俺はゴーヤーを食う!」

「…へぇ…。」

「早速家さ帰ってゴーヤーだー!!」

「…やれやれ…ふぅ」

恋の力とは凄いモノですね。
頑張ってくださいよ。平古場クン。










「あんまー!!ゴーヤーゴーヤー!!」

「…なん……だと……?」

俺が家に帰ってゴーヤーと騒ぐと家中大騒ぎになる。

「…何だよお前ら…。」

「ゴーヤーだって!!この子とうとうゴーヤー食べるようになったんだよ!!!」

「…え、あ、いやあの「ゴーヤー持ってきてゴーヤー!!!!沢山!!今日はゴーヤーパーティーだよ!!!」

「やめてくれー!!!!!」




散々だった。
でも永四郎の言うとおりゴーヤー食った。
結構食った。
すげー苦かった。
でもあいつのためだと思うと不思議と頑張れた。
…もうこれっきりにしたいぜ…。うう…ゴーヤーの味が…。

ケータイを開き、アドレス帳を開く。
そこにはあいつの名前。
俺が好きなやつの名前…。

大丈夫。
永四郎が言うんだ間違いない。
俺が知らなかったゴーヤーの力。
大丈夫、大丈夫…。
俺はゴーヤーを食った…!大丈夫だ!よし…。

通話ボタンを押すと数秒遅れてコール音。
1回…2回…3回………

『…え?あ…はい?』

「あ、えーと…俺だけど…」

『…平古場くん?どうしたの?』

「あ、やー…大したこと何だけどよ…。今…大丈夫か…?」

『??うん大丈夫だよ』

大丈夫。あんな苦い思いしたんだ


〜〜!!!



「俺…お前が好きだ」


『……………えっ?!』

「だっ…だからその…俺と…付き合わねぇ…?」

『え、ええと…罰ゲームか何か?』

「ちげーよ!まじで好きなんだよ…!」

『………………あ…うん』

「……悪ぃ…。」

『…私も…好き…』

「……へ?」

『だから…!…返事…良いよ…。』

「…ま…まじで?」

『うん…。ありがとう…』

「あ…あぁ…」

『…………………。』

「…………………。」

『…………………。』

「…あ、えーと…ゴーヤーのお陰だな」

『ゴーヤー?』

「…あー永四郎がなー、ゴーヤーは人を素直にさせてくれる効果があるって言ってたんさー」

『…え、そん…へぇー!』

「だから俺ゴーヤー頑張って食って…って何言ってんだ俺…。」

『あはははっ!!平古場君かわいいねー!!』

「ぬっ何が?!」

『あはははっいやっはははっ……………え?あ…はーい…。…ごめん…ちょっとお母さんに呼ばれちゃった…。…また明日学校でね…』

「あ、おう…。じゃぁな」

電源ボタンを押すのが切なかった。
…何かさらっと終わってしまった気がする…。
まぁそれでもゴーヤーのパワーは凄いな。
永四郎にお礼のメールでも送っておこう…。


To  永四郎
Sub よっ
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永四郎ー!
やーのおかげで上手くいっ
たさー!
ゴーヤーのパワーすげーな











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