ろぐ


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淳が転校すると知ったのはそれから二週間後のことだった。

「…っ淳…!!!」

「…どうしたの?」

淳の教室に入り、周りの目も気にせず淳の席へと向かった。

「…どうしたの…って…」

「………?…泣きそう…」

「……く…っ…」

「…………。」

「…淳…」

「…帰り、海行こうよ」

「………え…、」

「今日は僕と帰るよね?…約束だよ。クスクス」

























「…スカウトされたんだ。」

「…スカウト…?」

「テニスのスカウト。聖ルドルフ中の人にね」

「…え、どこ…それ」

「東京」

「東京…?通えないじゃない…」

「うん…全寮制だから」

「………。」

淳をスカウトした人…私は名前も顔も知らないその人を酷く恨んだ。
だって…いつも3人一緒だったのに…。
淳がいなくなる…

「…泣かないで」

「………。」

「僕はテニスがもっとうまくなりたいから…」

「…ごめ…っ…そうだよね…私にひきとめる権利はないよ…」

「……顔上げて」

「………!」








「亮には内緒」







そう言って私の唇に触れたもの






それが淳の唇だと知るまで…私は硬直していた












「…しょっぱいね、クスクス」

「〜〜〜!淳ぃ………」

「…僕が転校して泣くのは君くらいだよ。…ありがとう」

「……やだ」

「……………。」

「やだよ…」

「…行きたくなくなるじゃん」

「私も行き……じゅる」

「はなみずーーきったないなぁ…クスクス」

「あほーー」




「…約束しよう。高校になったら…また会う」

「…え?」

「ルドルフに亮とおいでよ」

「……考えとく」

「…素直じゃないなぁ…クスクス」






「…それまで待っててね」

私が呟いたその言葉は夕焼けに染まった波の音に混じって消えた。


「さようなら」


「……………。」

「…また、会おう」

「………う…」

「もう泣かないで」

「淳…今までありがとう…」

「…………うん」



淳の顔は逆光で見えなかった。
でも…ちょっとだけ泣いてたんだよね。あのポーカーフェイスの淳。
淳に抱きしめられた時、貴方の体がちょっとだけ震えてたから。


「…また、…」

「…うん…淳……またね…」

































「………………。」

「…あ、久しぶり。クスクス」

「………ねぇ亮。これ誰」

「淳だよ。忘れたの?」

「………。」












半年ぶりに会った淳の髪は短くなっていた。










「どう?クスクス」

「…………。」

「似合うね。」

「ありがとう。クスクス」

「…………。」

「無愛想だなぁ」

「あんたらに言われたくないわ!!!」

















「………ただいま」




「………おかえり」










そうだ、また海に行こうよ















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