短編


□拝啓、嘘吐きな君へ〜第二話
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 隣には、ひふみさん。
 ちらりと視線をやると、わたしを安心させるように、柔らかく笑ってくれるけれど。

 緊張で変な汗をかいてる気がする。

 分かってる。分かっているから大丈夫。
 どれだけ念じても、飛び出ていくんじゃないかというくらいの心音はちっともおさまらない。

 お神酒が注がれる。
 そういえば、今までお酒なんて飲んだことがなかったけれど、大丈夫だろうか。
 手が震えて、注がれたお神酒の水面も小刻みにゆれる。
 父も母も、お義父さんもお義母さんも、みんなこっちを見ている。
 こぼさないように、3回に分けて、ゆっくり飲み干す。初めて飲むのに、味わうような精神的余裕はわたしにはない。

 これでいいのだろうか、とひふみさんを見ると、大丈夫、とひふみさんの唇が動いた。

 とりあえず、わたしが一番心配していた儀式が終わった。




 金木犀の匂いが室内まで流れてくる、天気のよいあたたかい日。
 今日は、大安吉日。

 わたしとひふみさんの、祝言の日――。




 

*第二話*




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