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□荊の悪夢からは抜け出せない。
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っ……




二人の脳に流れ込むように忘れかけていた事実が奴の顔と共に思い出した。


「舞咲…?」

「澪さん…?」




固まる二人に同時に話し掛ける岳斗と色和。次の瞬間舞咲は一気に力が抜け出た様に肩を下がらせ耳に手をあてて目をつむる。その行動の意味は澪にしかわからない事だった。他の色和・岳斗・新悟・愁助・直輝は一気に心配なのか座席を立って舞咲の方へと顔や身体を移動する。






ちなみに、今はバス中で席順は澪、舞咲、色和が三人隣で、ほか新悟は12組なので後ろ(舞咲に会うために前に来たので実際は舞咲の前だ)岳斗・愁助・直輝は三人澪達の後ろ。(このバスは、横三人乗りの珍しいバスだ。)








「どうしたの?話してくれないかな?澪さん…」






そう言う直輝の目を澪は見る。そして、ゆっくりと口が開かれるがその口は直ぐに閉じられた。そして澪は口をつぐみ二、三回首を横に振る。




それ以上、その場に舞咲関係でを開くものは無かった。聞きたい気持ちは溢れるほどある、しかしあんな澪の顔を見てしまったからもう、聞きたくても聞けないのだ…




岳斗と何気ない話をしていた時、新悟はふと、もう一度深紅の方へと目をやる。色和は校長に頼まれた事をすっかり忘れて思い悩んでいる様子だった。無理も無いだろうずっと親友だった子の過去を話してもらえないのだから、本当に親友なのだろうか…そんな事を考えている顔つきだった。





舞咲は先ほどと同じ格好を澪はその舞咲の背中をずっと撫でていた。その光景は吐きたいのに吐けなくて「大丈夫?吐ける?」「だっ…大丈夫…多分」と言うバス独特のやり取りをしている様にみえる。












笑ってはいけないが、少し新悟は笑いながら目を向けた時は一瞬にして顔からは笑顔が無くなった。目があったのだ。その首謀者と…そいつはゆっくりと、いつもの様な笑いを見せる。しかし、その顔は余りにも恐ろしかった。全てを見られた様な気がして一瞬その場から離れなくなってしまったのだ――――。










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