*イナズマイレブン*

□息さえも
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円「なー、豪炎寺!
そろそろ帰ろうぜ!」

『え、あ、ああ…。』

円「今日は3時30分終了だもんなー、なんでかな?」

『グランドの整備するからって、言ってたろ。』

円「あ、そっか!
よく覚えてたな!」

『お前が天然すぎる…いや、忘れやすいんだ。』


何言ってるんだ俺!
間違えた、今のは完璧に間違えた!


円「はは、そっかー。」

『…。』


そして、鞄をとって俺と円堂は歩き出した。


円「なぁ豪炎寺?
なんか、怒ってる?」

『!!』

円「あれ、図星?
俺…なんかした?」

『なんでお前はそんなに鋭いんだ。』

円「そうか?俺、鋭いなんて初めて言われたぜ!!」

『…充分鋭いだろ。』

円「そんなこと言ってくれんの豪炎寺だけだぜー?」

『…。』

円「まぁ、俺は豪炎寺のことならなんでもお見通しだからな!」

『?!』

円「愛の力ってやつ??」

『…。』


ニカッと笑った円堂。


『は「恥ずかしげもなく、よくさらっと言えるな」…!!!!』

円「だろ?」


自慢気に笑う円堂。
俺が言おうとしたことをそのまま言って見せた。


円「言っただろ?
豪炎寺のことはなんでもお見通しだって!」

『…。』

円「で、なんで怒ってるんだ?」

『別に、怒ってはない。』

円「うーん…本当か?」

『ああ。』


怒っては、ない。
それは本当、のはず。

うーん、と唸り、悩む円堂。


『えんど…、』

円「あ!豪炎寺!!」


本当に、怒ってないんだぞ?
そういおうとしたが、円堂の言葉で遮られた。
円堂は悩んでたかとおもったら、顔をあげて、俺にむかって声をあげた。


円「ヒロトに嫉妬したんだろ!」

『っ??!!!!』

円「図星だな、よし!!」

『ち、違う!!』


なんでだ、なんで分かるんだ!!
本当に、本当にこれが愛の力なのか?!
なんか、恥ずかしいなコレ。


円「ヒロトも豪炎寺も友達だけど、豪炎寺に対する俺の気持ちは、ヒロトとは違うんだからな!」

『そんなこと…、』


そんなこと聞いていない、そう言おうとした。
だが、俺は言わなかった。

イチかバチかの賭けだ。

円堂に言いたいことがあった。



『円堂…。』

円「ん?なんだ?」

『その…修也、って…呼んでみないか?』


ああああ、恥ずかしい!!!!
円堂が日頃言ってることよりは全然レベル低いはずなのに、凄く恥ずかしい!!
円堂、お前はやっぱり凄いな!!


円「豪炎寺…!!」


目をキラキラさせる円堂。
なんだ、この反応は、どうなってるんだ。


円「そんなことで妬いてくれたのか?!
いくらでも呼んでやるよ、


修也!!」

『〜〜!!』


修也って呼んでみないか、そういったあとに豪炎寺と呼ばれたのに、
いきなり名前で呼ばれたことにビックリした。
大好きな円堂の笑顔とそのことで俺は心臓がすごく五月蝿くなって、
耳をふさいだ。


円「ん?どうしたんだ、修也?」

『…っっ!!
やっぱり、いい!やめろ!』

円「えぇ、なんでだよ!
せっかく修也がそう呼べって言ってくれたのに!」

『予想以上に、恥ずかしいんだ!』

円「え、そうなのか?」

『ああ、そうだ!』

円「でも、修也、嬉しくないか?」

『っ!!』

円「俺も修也に名前で呼んで欲しいな!!」

『…。』

円「はやくはやく!」


…やめてくれ、俺をそんなにキラキラした目で見ないでくれ。


円「…修也?」


どんどん顔が熱くなるのがわかった。
ああ、熱い!!


円「修也さ…まさか、俺の名前知らないとか?」

『そんなわけあるか!』

円「じゃあ、呼んでくれよ!」

『ぅ…っ。』


円堂、円堂守。
ああ、くそ、守って言えたらいいのに。
俺の口は動いてくれない。


円「ほら、やっぱり…そっか、修也は俺のことそんな程度だったんだな。
俺、馬鹿みたいだな。」

『ち、違…!』

円「俺のほうだけが、好きだったんだな。



…豪炎寺。」


『!!!!』



頭が、真っ白になりそうだった。
一瞬目の前が真っ暗になった。


円「豪炎寺…。」

『や、嫌だ…』


声が、上手くでない。


円堂に、嫌われた…?



『っ…守っっ!!!』

円「ーーーーっっ!!!!!」

『守、守…。』

円「わ…これ、結構照れるな!!」

『?』

円「お前の気持ちもわかるかも、これ結構恥ずかしいな!

でも、その分だけ、すっげー嬉しい!!」


両拳を握り締め、満面の笑みで喜ぶ円堂。


円「ごめんな、

修也!」

『…!』

円「俺、お前が俺の名前知らないなんて思ってなかったんだよな!」

『!!どういうことだ?』

円「修也の俺への愛がそんな程度だなんて思ってるわけないだろ!

ってことで、さっきのは嘘だ!」

『…!!』

円「いやー、俺、修也の名前呼んだらすっげぇ嬉しくて、
俺も修也に名前呼んで欲しいなーって思って、ちょっと、な!」


頭を掻きながら、おどけたように言う円堂。


『…〜〜っ馬鹿、最低だ、円堂!!』


さりげなく、守とは呼ばずに円堂、と呼んでみた。


円「ああーっ、戻ったぞ!!」

『もう、呼ばないからな!』

円「そんなに怒るかー?!」

『当たり前だ!
円堂に嫌われたかと思って…焦ったぞ。』

円「…!
そっか、ごめんな、修也。」

『〜〜っ!!』


申し訳なさそうに笑う円堂。



円「修也?」


怒るとでも思ったのか、一瞬きょとん、として、
心配そうな顔をして俺の顔を覗き込む円堂。

『…。』


苦笑交じりに言った円堂に、俺は何も言えなかった。












あいつの顔で、あいつの声で、
修也なんて言われると息さえもできなくなるんだ。





END
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