NARUTO
□バレンタイン
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*バレンタイン*
2月14日―…
恋する乙女たちには決戦の日、
恋人達には甘い一日になるべき日である。
コンコンと窓から音がしてシカマルはベッドの上から音のする窓を見た。
『あ け て』
外との温度差で白く曇った窓に3文字がうかびあがる。
特に急がずにのそのそと起き上がって窓を開けると冷たい空気とともに大きな声が飛び込んできた。
「遅いっ!!」
白い息がふわって夜気に溶けていく。
「玄関からくればいいだろ…」
勢いよく窓をくぐるキバから靴を受け取ってシカマルは今度は急いで窓を閉めた。
靴をそっと窓の下に並べた所ををギュッと抱きしめられてシカマルは声を上げそうになった。
外の温度に染まったライダースに体温が持っていかれそうだ。
「あ〜あったけ〜」
シカマルが眉を寄せるのも見ずに腕に力を入れてキバはその肩口に顔を寄せる。
「だって堂々と入ったらすぐ帰らなきゃ怪しまれるじゃん」
「すぐ帰れば?」
耳元で囁かれた甘い声をさっくり突き返されてキバはすっと体を離した。
「おまっ…!まさか今日が何の日かわからないわけじゃねーだろーな?!」
「まさかバレンタインとか言うんじゃねーだろうな」
鼻で笑う恋人に一つため息をついてキバは手に持った小さな袋を前に出した。
「え…?何?!くれんの…?」
若干引き気味のシカマルの前から袋を自分の方に引き戻してキバが少し語気を強めた。
「オレが貰うに決まってんだろーがっ!!」
「はぁ?!オレ…「そしてお前がチョコなんて用意してないことも計算済みだ!」
被さってきたセリフに傾げた首がさらに傾きそうになってシカマルは袋の中身を大方予想した。
「お前が用意したチョコを貰って嬉しいのか?!」
「大方間違っちゃいねーケドそうじゃねぇ」不適な笑みを口の端に寄せてキバは袋の中身をベッドに放り投げてそれを確認するように首を回したシカマルをもベッドにじりじりと追い込んだ。
さほど抵抗する気のない体はいくつかちらばった袋の中身と同じようにベッドに落ちた。
「なぁ…嫌な予感しかしねーんだけど…これ……」
自分の頭の横に転がったそれ…チョコレートのデコペンを目だけで確認してシカマルは引きつった笑いを浮かべた。
ふ…と小さく笑い返してキバはそのデコペンを拾って口の所を噛みちぎった。
「いただきます★」