NARUTO
□☆君はチョコレートより甘い
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*君はチョコレートよりも甘い*
口の中にいきなり流し込まれたチョコレートの甘さに気づくのと同時に口を塞がれてシカマルは嫌な予感を確信に変えた。
口に侵入してきた時はほんのり硬さを持っていたチョコレートがお互いの体温と唾液に溶けてソース状になって絡みつく。
味わい尽くすように舌をまとわりつかされているうちにため息をつく余裕もない己の口のかわりで心の中でやれやれ、と息をついた。
「オレこれ、ホワイトデーはいらねーわ」
ようやく解放された口から出された悪態をものともせずにキバはピンク色のデコペンを絞り出す。
「まぁそんなこと言うなよ!ホワイトデーはたっぷり舐めさせてやっからよ」
シカマルは反論の言葉を胸にだらりと伝った冷たさで引っ込まされる。
「うわ…思いのほかエロいな」
獲物を見つけて舌なめずりする狼のようなキバにシカマルはため息を一つつく。
「糖尿病で死ね」
「ふ…そうさせて貰うわ」
キバはそんな嫌みをさらりとかわして胸の突起を飾るピンクのチョコレートを舐めとった。
「…っ!」
いつもよりまったり絡むその舌の感覚にたまらず甘い息が漏れる。
「な?楽しいだろ?」
「バカ」
勝ち誇るような笑顔に怒るどころかつられて笑ってしまったシカマルにキバはさらに機嫌を良くして周りにちらばるデコペンで恋人の弱いところを飾っては舐めていった。
どんどんキバの頭が下へと下がってシカマルの太ももに手が差し込まれた。
「キバ!ちょっと待った」
「んあ?」
ピンクでも白でもない正しいチョコレート色のデコペンの開け口を引きちぎりながらキバが不思議そうに、そして少し不服そうに顔を上げた。
「もうチョコいいだろ?」
手からデコペンを取り上げられてキバは唇をとがらせた。
「何で?これ最後の一本だし」
奪い返そうとシカマルの手に掴みかかると口の空いたデコペンからチョコレートが互いの手に流れ出た。
「「あー」」
手だけでなくテンションの違う声も重なって次の瞬間にはそれが笑い声に変わる。
互いの手についたそれを舐めとり気分も湿ってきたところでキバが再び口を開いた。
「何がダメだったんだよ?」
「想像しなくていいから考えてみろよ?」
「はぁ?」
キバの首がわからない、と言うように傾いた。
「なんか…マニアックな図になるだろ」ちらっとシカマルは空になったデコペンに目をやった。
キバも同じように視線を動かして手を置いていた太ももの先に視線を戻してハッとした顔をした。
「な?」
同意を求める声にキバは口の端を上げて答えた。
「それはそれでオレはは構わねーけど?」
「…こぼれてくれて良かったぜ」
心底ホッとしたようなシカマルのため息にキバはハハっと笑って無くなったチョコレートの代わりに舌を差し込んだ―…