ひらこ小説
□狂華
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「…隊長」
「なんやこんな時間に。どうしたんや惣右介?」
午後11時。もう消灯時刻になるというのに、藍染惣右介は俺の部屋、5番隊隊首室にやってきた。
「眠れないので隊長に一緒に寝て頂こうと思いまして」
惣右介はいかにも人の良さそうな、それでいて有無を言わさないような笑みを浮かべて俺に言う。
「何言うてるんや。なんで俺がお前と寝なあかんねん。アホか」
惣右介の笑みに良からぬものを感じた俺はじりじりと近寄ってくる惣右介と距離をとるように後ずさる。
「おや、どうされたんですか、隊長?」
耳元で囁かれた。気づくと惣右介は目の前にいる。瞬歩で間を詰められたのだ。実力では俺の方が上の筈なのに…。
「隊長、顔色が優れないようですが?」
ニヤニヤとしながら惣右介は甘く低い声で囁く。
俺はもう腰砕け状態だった。
「惣…右介…俺に…なんか…した…んか…ッ」
「さすが…隊長は鋭い人だ」
尚もニヤつく惣右介を俺は必死に睨みつける。
「な…にをしたん…や…惣右介…ッ」
しかし惣右介は俺の問いに答えず、俺の手をひとつにまとめ、荒っぽい動作で俺を布団に押し倒した。
「あッ…」
惣右介が俺の首筋を舐めた。隊首羽織はもはや敷物の役目しかしておらず、死覇装の襟は大きく開かれている。
「感じているんですか…?」
「ア…ホ…か、ぁんッ…はぅ、ぁあ!」
惣右介が舌を俺の胸の飾りに進める。
「先程の問いにお答えしましょう、平子隊長」
「ッは、…な…んや…?」
「簡単な事です。貴方の体は今、普段の10分の1の力しか出すことができません。」
「何…や、と…?」
「それだけではありません。」
「……ッ」
「貴方の体は今、普段の20倍の感度を有しているのですよ、隊長」
どうりであんな声をだしてしまう筈だ。でも、俺の体は、いつの間にそんな風になってしまっていたのだろう。
「いつの間に、ですか?」
俺は目を見開く。心を見透かされたことに、情けなくも怯える。
「…常に、ですよ。鏡花水月で隠していただけです。僕は僕がここの隊の副隊長になってからずっと、隊長の食べるもの全てを管理してきました。…その間ずっと入れ続けてたんですよ?コレを…」
惣右介が袖から蜂蜜色をした液体の入った小瓶をとりだす。
「な…何やソレ…」
「分かりませんか?媚薬です。僕なりにアレンジを加えたんですよ。貴方の莫大な力をどうやって抑えられるか考えて…ね」
「なんで…こないなこと…」
「“何で”?」
惣右介の目は不自然にぎらついていた。
「貴方が、僕に愛されてしまったからですよ」
惣右介が俺の耳に口を寄せて言う。
死覇装の帯をしゅるりとほどく音が不自然に耳に響く。抵抗しても無駄だと分かっていた。分かっていてもせずにはいられなかった。男の筈の俺が何故あんな風な声をあげさせられなければならないのか。
涙が、でてきた。
「いいですね。その怯えと屈辱の入り混じった顔」
惣右介は俺の自身を激しく抜き始める。
「ご褒美にもっといじめて差し上げます、隊長」
「う、んあ!はぁ、ん…や、やめ…ぅあ!」
「やめて…ほしいんですか?」
鈴口を爪でひっかきながら惣右介は言う。
「はン!ぁ、あぁぁぁッ!」
あまりの快楽の渦に、俺は気が狂うかと思った。
「言葉も通じないんですか。仕様のない人ですね。…ほら、静かにしてください。他の隊士達が起きてしまいますよ?」
俺だってこんな声をあげるのは嫌だった。こんなことをされるのも嫌だった。掠れた声で助けを求め、手をのばす。
「んぁう、誰…かぁッ…助け…て」
「こんな時間ですよ。助けなんて来るわけないでしょう」
惣右介はひとつにまとめていた俺の手を、今度はどこから出したのか縄で柱に括り付ける。
「き…すけ…」
ふ、と頭によぎった男の名をつぶやいた。惣右助が眉間にシワを寄せる。
「この後に及んでまだ他の男の名を口にしますか。…しかも、あの男の」
惣右介が俺の顎を力任せにつかみ、自分の方へ向ける。
「こっちを見なさい。今貴方を犯しているのはこの僕だ。」
急に、まだ俺自身も触れたことがないような秘部に、冷たい指が触れるのを感じた。
「ぅ…あッ?!な…にを…」
「貴方は全て僕の物です。僕だけを見ていればいい」
惣右介は俺の自身よりはるかに質量がある自分の自身を俺の秘部にあてがう。
「ひぃあ、ぅあッ!む…無理、や!」
初めての上慣らしてもいない俺のソコは、少し腰を進められただけで裂ける。
「いッ、ぁぁぁあぁああッ!」
それは今まで感じたこともないような痛みだった。戦闘で負傷するのとはちがう、内から犯されている感覚。あまりの痛さに俺は顔を歪め、体ははねた。それにあわせて腕を縛り付けている縄が手首とこすれて鳴く。惣右介は痛がる俺を見て冷たく笑う。
「それでいい。貴方は僕の与えるものだけに反応していればいい」
そう言うと惣右介はいきなり俺の首筋に噛みついた。
それから爪でいたるところに傷を付け始める。
「これは印です。貴方が僕の玩具だというね。」
「う…」
また涙が零れた。
惣右介は再び腰を進め始める。
何かもう訳が分からなかった。苦しいのか、痛いのか…気持ちいいのか。
「はぁッ、ひぅ…ン、あ、ぁ!」
「隊長に血は良く映える」
「っは、ァうッ!」
「白い肌に紅い花」
「あッ、あっ、ひあぁぁあ!」
惣右介が前立腺を見つけた。そこばかり突き上げられて、俺は白濁の液を吐き出す。身体が痙攣するのがじぶんでも分かった。
惣右介はまだ俺の体に傷をつけている。
狂ったように。
傷は痛々しく血を滲ませ、それを惣右介が舐める。
俺は、意識を手放しかけていた。
「まだ楽にはしてあげませんよ」
抜かずにまた腰をふるいはじめる惣右介。口から涎が垂れる。口を閉じる気力さえ、俺には残っていない。
…助けは、来なかった。