10000打企画

□こんな可愛い生き物見たこと無い
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「ふむ、どうしたものか・・・」

腕をくみ、ネウロが見下ろしているその先には、『女子高生探偵』と呼ばれる、桂木弥子の姿――。
確かに、弥子ではあるのだが。
今現在ネウロの目にうつる目の前の“それ”は、どう見ても“女子高生”探偵とは言いがたい。なぜなら、
「おにいちゃん、だれー?」
「・・・」
姿かたちがどうみても幼児。5歳くらいだろうか。
ネウロはふむ、と小さく息を吐いて、こうなったいきさつを頭の中に思い返していた。


さかのぼる事、一時間前――。

「ヤコ、茶をいれてやった、飲め」
ずい、とネウロがコップを片手に持って、弥子の目の前に突き出した。顔には黒い笑いがうかんでいる。
「・・・ぇ、いらない・・・」
両手をつきだして、即座に拒否する弥子。
「何故だ、我が輩自らいれてやったのだぞ」
「だからよ!!!!何がはいってるか分かったもんじゃ・・・っふぐぁッ」
無理やり押し込まれた。まあ最終的にこうなるであろう事はネウロが弥子に茶(という名の危険物)を飲ませようとした時点で分かってはいたことなのだが。
この魔人に逆らう術など無いのだ。
「な、何飲ませたのよ?」
「なに、少々実験してみようと思っただけの事だ。・・・しかし、変化が無いところを見ると失敗のようだな。・・・つまらん」
興味をなくした、と言わんばかりに弥子から目線をはずして、いつものイスに座り込む。
「あんたねぇ・・・!勝手に変なもん飲ませといてっ・・・」
抗議をしてみるが、弥子自身こんな事はネウロに通用しない事は分かりきっているのだ。こいつには何を言おうと意味が無い。
「はぁー駄目だ・・・」
諦めてため息をつき、ネウロから視線をはずした、時。
「!??ぇ、・・・あれ」
弥子の目の前が、ぐらついた。視界が、揺れる。
なんだか、色んなものが今までより高く感じて、気分がわるい、その場に座りこんだ。

「ん?」
弥子の姿がみえない。さっきまでいたはずの。
「本当にミジンコになってしまったか」
さりげなく暴言を吐きながら、イスを立った、その時耳にした、
「ぅえー?ここどこ?」
聞きなれたような、知らないような、声。ネウロはその声が何処から聞こえたのかと目を動かす。ずいぶん小さな生き物が目にはいった。
ああ。
「どうやら、・・・成功のようだな」

そして、今に至る。

成功したのはいい。
デメリットが無いのであれば、ネウロにとっては弥子が小さくなろうがこのままでいようがどうでも良いのだ。
だが、
「さすがにこれでは使いものにならんな」
そう、このまま小さくなった弥子を放置すれば“謎”が食べられなくなってしまうのである。
「多少面倒だが、直さねばなるまい」
小さくなった弥子が不思議そうにネウロの方を見ているのを見下ろし、面倒くさそうに顔を少し歪めた。
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