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□過去進行形
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それは、もう過去にしなければならない思い出。

初めて彼女に会ったのは、趙公明と戦う少し前だったと思う。彼女は聞仲のスパイで、初めて会った時には既に味方だったが、味方にするにはかなり手間取った
と後から聞いた。

実際に会話をしたのは、彼女が周側に寝返った翌日だった。彼女は先日の呂岳のウィルス攻撃で、楊ぜんからワクチンを打ってもらったものの、まだ調子が良さ
そうではなかったと記憶している。
「ねぇ、あなたが黄天化?」
彼女はいつもと違って、髪を降ろしていた。そのせいで最初は誰だか解らなかったくらいだから、やはり個体識別に髪型というのは重要だと思う。
「…そうだけど、あーた誰さ?」
「ちょっと、何よあなた。あたしの事、太公望から聞いてるんじゃないの?…あたしは蝉玉。元スパイの美少女よっ!!」
「‥‥あぁ、あーたが新しくこっちに来たってぇ人かい?」
「そ、ハニーの花嫁としてねっ」
ねぇハニー、と無理矢理捕まえたのであろう腕の中の土行孫に頬ずりする。
「だあぁ!!!!俺はハニーじゃねぇ〜!!」
バタバタと暴れるが、体格差は大きい。彼女の腕に抗議の声は全く届いていない。
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