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□過去進行形
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「んもぅ、ハニーったら照れ屋さんなんだからぁ!」
ばしばしと土行孫の背中を叩く蝉玉。当然と言うか、彼女は力の加減というものを知らない。
「ぐへっ…」
「きゃあハニー!!!!大丈夫!?」
蝉玉は慌てて腕を離す。それを待っていましたとばかりに、土行孫は宝貝を使い土に潜り込んだ。
「ちょっとハニー!!!?何で逃げるのよ〜!!?」
蝉玉は土行孫の後を追い土の中に潜り込もうとした‥が。
「ってあーた、何するつもりさ!?」
すんでのところで今まで会話の外に追いやられていた天化が、彼女の腕を掴んだ。
「何って、ハニーを追い掛けるに決まってるじゃない!!!」
「あーたモグラじゃないんだから土の中じゃ悪くすりゃ窒息するさ!!」
天化は蝉玉の腕を引っ張り、土行孫が潜った穴から無理矢理彼女を離した。
「ハニー……」
「どーせまたすぐ捕まえられるだろ?」
まだ諦めきれていない蝉玉の腕を引っ張り、
「ほら、さっさと諦める。さて、そろそろメシさ。早く行かないと無くなるさ」
「‥今日なんだっけ?」
やっと諦めたのか、興味を示し始めた蝉玉に、天化は笑いかけた。
「麻婆だろ?」
「あたし麻婆大好きなのよねぇ……」
「そりゃよかったさ」


今となっては楽しい思い出。今でもその光景は目に浮かんでいる。いつか、本当にいつか、そんな日がもう一度来ればいいと願っている、遠い日の思い出 。


*おしまい*
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