年下の男の子
□Last
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‐ 幸村精市side ‐
***が義貴さんの席に移動した。
打ち合わせどころじゃなくて・・・
何の話をしてるのかすごく気になっていた
そして声もあげずに涙を流す***に気が付いた
今すぐそばに行って抱き締めたい
そんなことを考えていると***は義貴さんに抱きついた。
我慢できなくなった俺は***を食堂から連れ出した。
義貴さんに“悪いな〜”と言われて・・・少し後悔しながら
俺が子どもだから―――
義貴さんと***は慎吾さんの話をしていたのだろう
邪魔をしてしまった自分に今さら嫌気がさした・・・
食堂を出て、俺達は中庭に足を向けた。
「・・・精市・・・抱き締めて」
涙をいっぱいにして***は言う
そんなの・・・***が嫌がるくらい抱きしめるよ―――
そして***はぽつりぽつりと話し始めた。
義貴さんの夢・・・
慎吾先輩の最期・・・
途中、何度も詰まって―――
その度に僕は強く抱き締めた。
まるでここにいる彼女の存在を確認するかのように・・・
「私、義貴に・・・ヒドイこと!自分のことだけ考えて逃げて・・・」
「義貴さん・・・怒ってないよ」
慎吾さんにも想われてたんだね
翔真さんや義貴さんや直人さんだって―――
でも俺を選んでくれたんだ
ずっと大切にするから―――