年下の男の子
□Last
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‐ 不二義貴side ‐
泣いてる***は見たくない―――
お膳立てしたことに後悔はない。彼女が笑顔でいてくれるのだから
幸村の隣で笑う***・・・
慎吾さんがいる氷帝テニス部で笑う彼女を思い出す
(よかった・・・もぅ大丈夫)
『慎吾さんは医者に?』
『う〜ん・・・俺はテニスを続けるやつらがケガしたときサポートしたいんだ』
『・・・お願いします』
『おぅ、任せとけ!!』
その時・・・
歩道を歩く子どもにトラックが突っ込んできて―――
本当に一瞬の出来事だった
慎吾さんは駆け出して子どもを突き飛ばしていた
そして自分が代わりに・・・
血だらけで・・・顔を歪めて
こんなに顔を歪めて苦しむ慎吾さんを見たことがない・・・
・・・数秒前は隣にいた人がなぜ?
世界は白黒に見えた―――
慎吾さんにかけよると
『・・悪・・い・・・。義・・た・か・・サ、ポー・・ト・・・でき・・ねー・・・』
『何、言ってるんすか?サポートしてください!あなたがいないと・・・みんなテニスできません!』
涙で顔がぐちゃぐちゃだ
『・・・みん・・な・・・に、・・弟・に・・・よろし・・く・・・な』
『イヤだ!卒業式で大号泣してた***を置いてくつもりですか?』
『お・・・前・・が・・・・支・・え・・て・・・や・・れ・・・よ・・・』
『慎吾さんじゃなきゃ・・・ムリなんです・・・』
『・・***・・を・・・俺・・の・・・・大・・切・・・な・・・人・・を・・・頼・・む・・・』
それが慎吾さんの最後のコトバだった
***は俺が支えなきゃ・・・
そう思ってたけど俺の役目は終わったみたいだ
「義貴?」
「***・・・どうかした?」
「また・・・事故のこと思い出してたでしょ?」
俺は彼女の言葉に驚いた―――
「その顔してるときはきっと思い出してるんだろうなって・・・一緒にいたって聞いたから」
支えられてたのは俺だったのかもしれない・・・
「今は医者を目指してるんだ」
突然でビックリしただろ?でも少し聞いてほしい・・・
慎吾さんの最期を***に
今までは***が壊れるんじゃないかと思って言えなかった・・・
無言でうなずきながらちゃんと聞いてくれてる
「義貴・・・あの・・・・私・・・」
コトバがうまく出ないみたいだね
「・・・ありがとう」
涙でいっぱいになりながら笑顔で抱きついてきた。
(幸村の視線が怖いってば)
「俺の役目は終わり。幸村のとこ行ってこい」