年下の男の子
□Last
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夕食後、最終打ち合わせを各校部長とマネージャーで行っていた。
ふと義貴を見ると・・・
表情がない顔をしていた
知ってる―――
この顔は“慎吾先輩”のことを考えてるとき
慎吾先輩の事故現場に義貴も一緒にいた・・・と翔先輩が悲しそうに教えてくれたことがあった
私は衝動を抑えきれず少し離れた場所にいる義貴に声をかけた
今までは聞けなかった・・・
義貴が壊れてしまうんじゃないかと思って―――
義貴は夢を話してくれた
医者になりたいと・・・
そして、慎吾先輩の最期を私に教えてくれた
胸がえぐられるような話で聞きたくなかった・・・
でも
聞かなきゃいけない―――
義貴が辛い思いをしてるのに私は自分のことだけで・・・
過去の私を後悔した
後悔しても・・・過去は戻せない
義貴にホントはもっと言いたいことはあるけど言葉が出ない・・・
笑顔で“ありがとう”というだけで精一杯だった
義貴の表情が読み取れないくらい涙が出てる私・・・
そして、小さい子どもみたいに抱きついた。
「俺の役目は終わり。さっ幸村のとこ行ってこい」
そう言われて・・・
振り返ろうとしたとき精市に腕を引っ張られて食堂を後にした。