年下の男の子

□Last
6ページ/9ページ

‐ 幸村精市side ‐



***が義貴さんの席に移動した。

打ち合わせどころじゃなくて・・・

何の話をしてるのかすごく気になっていた



そして声もあげずに涙を流す***に気が付いた

今すぐそばに行って抱き締めたい

そんなことを考えていると***は義貴さんに抱きついた。



我慢できなくなった俺は***を食堂から連れ出した。

義貴さんに“悪いな〜”と言われて・・・少し後悔しながら



俺が子どもだから―――

義貴さんと***は慎吾さんの話をしていたのだろう

邪魔をしてしまった自分に今さら嫌気がさした・・・

食堂を出て、俺達は中庭に足を向けた。



「・・・精市・・・抱き締めて」



涙をいっぱいにして***は言う

そんなの・・・***が嫌がるくらい抱きしめるよ―――



そして***はぽつりぽつりと話し始めた。

義貴さんの夢・・・

慎吾先輩の最期・・・

途中、何度も詰まって―――



その度に僕は強く抱き締めた。

まるでここにいる彼女の存在を確認するかのように・・・



「私、義貴に・・・ヒドイこと!自分のことだけ考えて逃げて・・・」

「義貴さん・・・怒ってないよ」



慎吾さんにも想われてたんだね

翔真さんや義貴さんや直人さんだって―――

でも俺を選んでくれたんだ



ずっと大切にするから―――

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ