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□act.1 鈍感な君に
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大学を卒業して数年
新卒で右も左もわからないヒヨッコだった私にも今は後輩ができて・・・
少しくらいはヒヨッコに毛は生えたかな?


「***さん、資料作成ヘルプお願いします。もうわけわかりません!」

「ハイハイ、10分だけ待ってもらっていいかな?」

「やったー!すみません」


ただただ毎日が普通に過ぎていく平凡なOLの私
あの人についていきたいと思っていた頃から何年経ったかな―――
(まだ顔が浮かんでくるなんて・・・未練かな、私)
でもあの手を離したのは私自身


「***さん、顔色悪いですけど、どうかされましたか?」

「・・・ううん、なんでもないよ!さっ、早く終わらせちゃうよ〜」

「今日は花金ですもんね☆」

「あらあら〜それは東宮さんだけでしょ?」


結局・・・
後輩に甘い先輩なのかもしれない
遠距離の彼と3ヶ月ぶりのデートがぁ!と涙を浮かべる後輩から後処理を快く引き受けてしまった
まぁ出力だけだし、東宮さん普段マジメな子だし・・・
昼休みによく聞かされる遠距離の彼とのデートだし・・・
(私・・・予定もないしね)
笑みを浮かべながらプリンタから出てくる書類を束ねて手際よくホッチキスで止めていた


「たまには、優しい先輩だ・・・私」

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