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□act.1 弟の友達
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「ムリムリ、遠い」

『そこをなんとか!』

「お母さんに頼みなよ・・・」

『今日から旅行だろ?』

「あっ、温泉だっけ?いいなぁー・・・」

『今度連れていってやるから』

「ホント?じゃぁ『さんきゅー!頼んだからな』



返事する間もなく聞こえてきたのは ツーツー という機械音
ずいぶんと一方的な会話だった
大切な書類を忘れたから届けてくれという弟からのラブコール
姉をパシリに使うとはいい度胸してるね、まったく―――
ブツブツと文句を言いながら携帯をバッグに入れて乗ろうとしていた電車とは違う実家へと向かう電車に乗り込んだ
結局、弟には甘いんだよね・・・私
誰もいないであろう実家の鍵をバッグの中から取り出して握りしめた


「KAT-TUNのCD買っちゃった〜」

「相変わらず亀梨くん命だね」

「まぁね♪セクシーでカッコいいんだもん」


車両内で聞こえてきた女の子達の会話に耳を傾けてみるものの
聞きたかった名前は聞けなくて
少しだけ弟に不安を抱いた
(もしかして・・・人気ない?)

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